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今回は「コンプライアンス違反をすると、どんな行政処分が待っているのか?」について解説していきたいと思います。
前回のメルマガでは、コンプライアンス違反として ・談合・官製談合・競争妨害・落札後辞退・重大な労働災害・接待や金品授与 といったものがあり、それぞれどのような内容なのかをご説明しました。
実はこうしたコンプライアンス違反をした場合、行政処分が下されることがあります。
行政処分は大きく分けると「指名停止処分」「営業停止処分」「業者登録取り消し・競争入札参加資格の取り消し」などがあります。
それぞれどのような処分なのかを説明していきましょう。
■行政処分1:指名停止処分
「指名停止処分」とは一定期間、その企業の入札参加を認めない処分のことです。
その期間はどのくらいかというと「1ケ月~12ケ月」と企業によって異なります。
指名停止処分中は原則当該省庁、当該自治体のHPに「指名停止処分」となっていることが掲載されます。
自治体だけではなく、日本全国の官公庁の入札や随意契約ができなくなるため注意が必要です。
(事例)A社は仕様書の確認を怠ったまま複合機入札に参加し、落札。仕様書の内容を満たす機器を納品できない状態だったため辞退するも「不正又は不誠実な行為」であると判断され、1ヵ月指名停止処分を受けました。
■行政処分2:営業停止処分
「営業停止処分」は免許・許可が必要な営業において企業が違法、あるいは不当な行為をおこなった場合に、一定期間の営業停止が命じられるものです。
具体的には建設業、飲食業といった業種が当てはまります。
営業停止になると、監督官庁から処分の内容が通知されます。
(事例)建設工事においてA社とB社は事前に相談し、落札価格や落札企業を決めました(談合)。
これによりA社とB社は独占禁止法違反の罪に問われ、罰金刑に。
この判決を受け両社とも4ヵ月の営業停止処分となりました。
■行政処分3:業者登録取り消し・競争入札参加資格の取り消し
「業者登録取り消し・競争入札参加資格の取り消し」は該当する自治体で法律違反があった場合になされる処分です。一度この処分が下ると、ほかの自治体での処分は免れますが当該自治体ではビジネスができなくなってしまいます。
■「指名停止処分」と「営業停止処分」になった事例
実際に「指名停止処分」と「営業停止処分」になった事例を、もう少し詳しくご紹介しましょう。
特殊法人D社に勤めていたグループリーダーのS氏はD社が管理する施設工事で、設備会社B社が器具などを納入できるよう、取り計らったとされました。
その謝礼としてB社の社員から複数回、約50万円相当の飲食店での接待を受けたようです。
判決で裁判官は「極めて公共性の高いD社の公正と社会の信頼が大きく損なわれた」として、S氏に懲役1年2月、執行猶予3年、B社社員に懲役10月、執行猶予3年を言い渡しています。
実はこのケース、D社は特殊法人という官庁であったにもかかわらずB社は民間企業と勘違いして接待してしまい、D社のS氏もまた半官半民であり、自分は民間企業の職員であると勘違いしたまま接待を受けてしまった……という事情がありました。 ただそのような事情があっても「指名停止処分」と「営業停止処分」の行政処分が下されています。このような行政処分を受けてしまうと社会的な信用を失うばかりか、取引先との関係も悪化する恐れがあります。
自治体相手となればそうした恐れどころか、出入り禁止企業として自治体ビジネスそのものができなくなってしまう可能性もあるのです。
■まとめ
第1回目は「自治体ビジネスのおけるコンプライアンス」、第2回目は「コンプライアンス違反7つ」、そして第3回目である今回は「コンプライアンス違反に対する行政処分」についてお伝えしました。
第4回目となる次回は「コンプライアンス違反を防ぐ方法と、違反してしまったときの対処法」について解説します。