調達方式

一般競争入札とは?わかりやすく徹底解説

公募型プロポーザルの特徴を徹底解説!他の発注形態との違いとは?

自治体との仕事は、入札という通常のビジネスとは大きく異なるシステムで進みます。
入札方式の中でも、原則としておこなわれているのが一般競争入札です。

これから自治体ビジネスを進めていこうという段階では、

「そもそも一般競争入札ってどんな制度?」
「一般競争入札に参加するには何を準備すればいいの?」

と疑問に思う方も多いかもしれません。

そこで今回は、一般競争入札について基本的な部分から解説します。

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一般競争入札とは?

一般競争入札とは、地方自治体が発注を行う際に、不特定多数の事業者を公募し、最も有利な条件を提示した事業者を選定する契約方式です。

一般競争入札は入札方式の原則

地方自治体が発注を行う場合には、不特定多数の参加者を募る調達方法である「一般競争入札」が原則とされています。一般競争入札は、参加資格を持っていれば誰もが参加でき、案件数も多いため、これから自治体ビジネスの実績を作ろうと考えている方にも最適といえるでしょう。

一般競争入札とその他の方式との違い

地方自治体が民間の事業者と契約を締結する際、公平性を確保するためにおこなわれるのが「入札」です。

契約先の選定方式には大きく分けて下記の4種類があります。

  • 一般競争入札
  • 指名競争入札
  • 企画競争入札(プロポーザル方式)

それぞれの特徴や民間企業にとってのメリット、デメリットについて見ていきましょう。

一般競争入札

前述の通り、一般競争入札は最も広く門戸が開かれている入札方法です。
自治体との契約においては原則として、一般競争入札がおこなわれています。

不特定多数の事業者が参加できるため、透明性、公平性、競争性、経済性が確保された制度です。

【メリット】

  • 自治体ビジネス未経験でも参加できる

【デメリット】

  • 価格競争となるため、利益が少なくなる場合がある

指名競争入札

指名競争入札とは、発注側が特定の事業者を指名し、その中で競わせる入札方式です。

特定の事業者のみが参加するため自治体側の事務負担が減りますが、談合や癒着のリスクが指摘されます。

そのため、自治体の調達では一般競争入札を原則とし、次のような場合に限り例外的に指名競争入札が認められています。

  • 契約の性質や目的により、競争に加わる者が少なく一般競争入札にする必要がない場合
  • 契約の内容が一般競争入札に適しない場合
  • 予定価格が少額の場合 など

【メリット】

  • 参加事業者が少数のため、落札の可能性が高まる

【デメリット】

  • 指名されなければ参加できない
  • 実績がなければ指名される可能性は低い

詳細はこちら
指名競争入札のメリットとは?わかりやすく解説します!

企画競争入札(プロポーザル方式)

価格だけでなく、提案内容や会社事業者の信頼性も含めて契約者を決めるのが企画競争入札(プロポーザル方式)です。
発注側の提示した予算内で提案書を提出させ、提案内容と事業者の業務遂行能力などの総合的な評価で契約者を決定します。

プロモーションや調査など、様々な解決策が考えられる案件でおこなわれることが多い選定方式です。

【メリット】

  • 価格以外の部分で勝負できる
  • プレゼンテーションがある場合も多く、直接訴える機会がある

【デメリット】

  • 提案書の作成に時間と手間がかかる

詳細はこちら
公募型プロポーザルの特徴を徹底解説!他の発注形態との違いとは?| 自治体ビジネスドットコム

随意契約

随意契約は、入札をおこなわず、発注側が契約相手を指名して直接契約する方式です。
自治体側の事務負担が少なく済みますが、談合や癒着のリスクが指摘されます。

そのため随意契約がおこなわれるのは、以下のような場合のみです。

  • 契約内容が競争に適さない場合
  • 緊急の場合
  • 社会福祉的な理由がある場合
  • 予定価額が少額の場合 など

随意契約では入札はおこなわれませんが、多くの場合、金額の妥当性を判断するために2社以上の見積もりを確認したうえで契約されます。

【メリット】

  • 競争相手が限られており契約できる可能性が高い
  • 契約までの手続きが早い

【デメリット】

  • 特殊な技術や資格、実績がなければ難しい

詳細はこちら
自治体営業における究極のゴール「随意契約」とは?|自治体ビジネスドットコム

 

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一般競争入札が作られた理由は?

一般競争入札が作られたのは、自治体の事業に透明性公平性を確保するためです。

自治体の事業には税金が使われており、本来、その使い道は地域住民に決定権があります。

地方自治体は地域住民からお金を預かり、代理で事業をおこなっている立場。

「なぜこの事業をこの事業者に発注したのか」についてきちんと説明できるよう、事業者の選び方に透明性と公平性を確保しておかねばならないのです。

税金を無駄遣いしないためにも、発注者側にとって最も有利な条件を提示した事業者を選ぶ一般競争入札のシステムは合理的といえるでしょう。     

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一般競争入札の落札方式

一般競争入札は基本的に価格のみで落札者を決定しますが、価格以外の項目を加味して審査するケースが認められています。

一般競争入札の落札方式は以下の2通りです。

最低価格落札方式

最低価格落札方式とは、予定価格の制限内で最低価格を入札した業者を落札者とする方式のこと。
自動落札方式とも呼ばれます。

予定価格とは、入札時に設定されている価格の範囲をさします。

予定価格を超えた金額や下回った金額であった場合は、入札の最低価格であったとしても落札者にはなれません。
予定価格は事前に公表されないケースがほとんど。
入札価格の設定時は、予定価格の見極めも重要なポイントです。

予定価格については、こちらの解説もご一読ください。

最低制限価格制度とは何か?目的から具体例まで徹底解説|自治体ビジネスドットコム

総合評価落札方式

総合評価落札方式とは、価格と価格以外の部分を総合的に評価して落札者を決定する方式です。
近年は、総合評価落札方式による一般競争入札が増えています。

価格以外の項目で評価される部分は入札ごとに異なりますが、一例をあげると以下のような部分です。

  • 過去の業務経験や履行時の実績
  • ノウハウや技術の有無
  • 技術者の経験や資格
  • 地域に対する貢献度
  • 事業の安全性

価格以外の判断に対して透明性を確保するため、学識者の見識を経たうえで落札者を決定するのが一般的です。

総合評価落札方式については、こちらの解説もご一読ください。

総合評価落札方式にチャレンジするメリットは?|自治体ビジネスドットコム

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一般競争入札に参加する際の流れ

一般競争入札に参加する際の流れは、以下の7ステップです。

流れ①参加資格の取得

一般競争入札に参加するには、参加資格が必要です。

入札参加資格は、発注機関や業種によって異なります。
そのため、参加を希望する発注機関や業種すべてに参加資格の申請をおこなわねばなりません

対象となる発注機関の申請方法や申請期間を確認し、入札に参加するまでに登録を完了しましょう。

近年は電子入札システムを使用するケースが増えてきています。
デジタル環境の整備が必須になっている点は意識しておきましょう。

一般競争入札に参加できない条件

一般競争入札では、あらかじめ参加できない条件が法令で決められています。

落札後の契約不履行や法令違反を避けるためです。

地方自治法施行令167条の4により、下記の条件に当てはまる場合は一般競争入札に参加できません。

一 当該入札に係る契約を締結する能力を有しない者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第三十二条第一項各号に掲げる者

さらに、下記の条件にあてはまる場合は、「3年以内の期間を定めて一般競争入札に参加させないことができる」と定められています。

一 契約の履行に当たり、故意に工事、製造その他の役務を粗雑に行い、又は物件の品質若しくは数量に関して不正の行為をしたとき。
二 競争入札又はせり売りにおいて、その公正な執行を妨げたとき又は公正な価格の成立を害し、若しくは不正の利益を得るために連合したとき。
三 落札者が契約を締結すること又は契約者が契約を履行することを妨げたとき。
四 地方自治法第二百三十四条の二第一項の規定による監督又は検査の実施に当たり職員の職務の執行を妨げたとき。
五 正当な理由がなくて契約を履行しなかったとき。
六 契約により、契約の後に代価の額を確定する場合において、当該代価の請求を故意に虚偽の事実に基づき過大な額で行つたとき。
七 この項(この号を除く。)の規定により一般競争入札に参加できないこととされている者を契約の締結又は契約の履行に当たり代理人、支配人その他の使用人として使用したとき。

流れ②発注情報を探す

一般競争入札は、年間を通して膨大な数の案件が公告されています。
参加資格の申請と並行して、自社が受注できそうな発注情報を探していかねばなりません。

発注情報の探し方には、大きく分けて下記の2通りがあります。

  • 自治体のホームページから探す
  • 有料の検索サービスを利用する

公募型の場合、自治体のホームページに入札情報が掲載されます。

掲載場所は自治体により異なりますが、「入札・契約」関連のページで随時公開されるケースが多いです。

ホームページから情報を入手する場合は、各自治体の該当ページをこまめにチェックしましょう。

入札公告は不定期にあちこちの発注機関から出されるため、手作業で探すと膨大な労力と時間をとられてしまいます。
継続的な費用がかかりますが、

少ない人数で効率よく発注情報を探したい場合は、有料の検索サービスを活用するのも一つの手です。

有料検索サービスについては、こちらの解説もご一読ください。
「入札情報速報サービスNJSSの評判は?料金・使い方についても紹介|自治体ビジネスドットコム」

流れ③入札資料を確認する

参加の検討に必要となる関連書類は公告時に公開されます。

内容をしっかり読み込んだうえで、参加の判断をおこないます。

入札心得書 入札心得書には、入札における基本的なルールが書かれています。
コンプライアンスに関わる項目もあるため、関わるメンバー全員に内容を共有しましょう。
入札説明書 入札説明書には、入札についての具体的な手順が書かれています。
納期や提出先などの情報もあるため、見落としがないよう事前にしっかり確認しましょう。
仕様書 仕様書には、発注する案件の具体的な内容が書かれています。

公告後速やかに内容を確認し、見積もりをするうえで曖昧な部分がある場合は、必ず質問をしましょう。

流れ④入札説明会への参加

入札説明会が開催される場合は、ぜひ参加しましょう。
中には参加が必須の案件もあります。

昨今はオンラインで開催するケースや、説明会そのものを開催しないケースも増えています。
情報を得るチャンスは極力逃さないようにしましょう。

流れ⑤入札

入札の方法や必要な書類は、案件により異なります。

ここで不備があると失格となるおそれもあります。

入札説明書などをしっかりと読み込み、漏れのないように準備してください。

入札価格は、過去の落札結果や競合他社の状況を研究し設定します。

入札書に入札金額を記入する際は、金額や転記に間違いが無いように必ず複数人で確認しましょう。

流れ⑥落札

入札結果の開示は、事前に定められた日時におこなわれます。
紙による入札の場合は入札会場にて、電子入札の場合は電子システム上で開札結果と落札者が公表されます。

落札者と同時に、落札金額も公表されるため、落札できなかった場合も結果をよく読むようにしましょう。

流れ⑦契約

落札できた場合は、発注機関の指定する方法で契約をおこないます。

一般的に、契約内容は入札説明書等の交付時に提示されます。

落札後に「この内容では実施できない」ということがないよう、事前に内容を確認しておきましょう。

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一般競争入札に勝つためのポイント3つ

一般競争入札は資格さえ備えれば誰でも参加できますが、その分競争率も激しくなります。
やみくもに入札へ参加しても、落札できなければコストと手間の無駄遣いになってしまうこともあるでしょう。

一般競争入札で勝つためには、下記の3点が重要です。

  • 自社に適した案件を選ぶ
  • 競合他社や発注元の分析をおこなう
  • 仕様書を読み込み、不備をなくす

それぞれ順番に解説します。

①自社に適した案件を選ぶ

自社に適した案件選びは非常に重要です。

一般競争入札では、大企業や実績のある企業が有利とは限りません。
自社に適した規模の、勝てそうな入札案件を狙えば中小企業でも十分に落札できます。

自社に適した案件とは、以下のような案件です。

  • 自社で対応可能な案件
  • 競争率が低い案件
  • 勝てそうな案件

日頃から発注情報や落札金額、競合他社の実績や状況を分析し、自社に適した案件の見極めをおこなうための準備をすることが大切です。

②競合他社や発注元の分析をおこなう

前述した通り、一般競争入札に勝つには、競合他社や発注元の分析も欠かせません。

発注元である自治体の行政計画や予算書を確認することで、その自治体がどのような課題を抱えどの程度の規模の業務が求められているかの予測を立てることが可能になります。

また、参加の判断をおこなうために、公告された仕様書が競合他社に有利な内容になっていないかという視点も大切です。

③仕様書を徹底的に読み込む

入札では、重要な点はすべて入札説明書や仕様書に記載されています。
公告後速やかに隅々まで目を通し、徹底的に読み込みましょう。

書類の不足や不備は連絡なく失格となる場合もあります。
基本的な点こそ、徹底的に確認し、不備をなくしましょう。

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一般競争入札に参加してみよう

一般競争入札について網羅的に解説しました。

一般競争入札は入札方式の原則であり、多くの案件が公募されています。
公平性と透明性が確保されており、参加資格があれば誰でも参加できるのが大きなメリット。

自治体ビジネスの実績作りにも最適です。
自治体ビジネスを考えている方は、ぜひ一般競争入札を検討してみてください。

今回紹介した一般競争入札のように、自治体ビジネスには民間ビジネスとは異なる制度や仕組みが多く存在しています。

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