プロポーザル

徹底解説!事例で学ぶ展示関連プロポーザル攻略

これまで随意契約が多かった展示関連業務の案件ですが、プロポーザル方式で提案者を選ぶ案件が増えてきています

展示プロポーザル案件の多くが、地方の美術館や博物館等など○○館と名称の付いた施設の展示物や、地域の交流に繋がる展示会などに係る業務です。

地方創生や地域交流人口を増やそうという時代の流れの中、美術館や博物館などが、その地域に来る人を増やす役割も担うようになりました。

また、これまでは展示物を置くだけで良かったものが、ニーズと技術の多様性に伴い、デジタルサイネージでの展示や参加型の展示など、求められる内容は多岐にわたるようになってきています。

そのため、美術館や博物館などを運営する自治体側としても、民間の力を最大限活用し、より魅力的な施設や展示を行おうと考えるようになってきました。

こうした背景から、展示関連プロポーザルが増えたのではと推測されます。

今回の記事では、展示関連プロポーザルの攻略法について、実際の事例をもとに解説します。

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展示関連プロポーザルの具体的事例3つ

展示関連のプロポーザルにはさまざまな案件がありますが、その中でも多いのが、博物館などの展示物に関する案件です。

とはいえ、展示に求めるものも多様化している昨今では、プロポーザル案件の内容もさまざま。

展示プロポーザルの事例を3つ紹介します。

事例①小田原城歴史見聞館展示物等設計製作設置業務

小田原市では、小田原城の耐震改修工事に伴い、展示全般のリニューアルを行うため、プロポーザルで事業者を選定しました。

耐震工事や改修工事を行う際、既存の展示物はすべて撤去しなければならないため、展示内容を見直すきっかけになります。
耐震工事や改修工事に伴い、展示プロポーザルが行われるケースは比較的多くみられます。

観光客の幅広いニーズに対応し、持続的な集客につなげるべくプロポーザル方式が選択されました。

業務内容は大きく分けて以下の3点。

  1. 展示物設計業務
  2. 展示物製作設置業務
  3. 空調及び電気設備(消防設備含む)新設及び更新業務

自治体の展示関連プロポーザルでは、上記のように設計やデザインだけでなく、空調や電気設備の敷設も業務に含まれるケースが多いため、注意が必要です。

【参照】小田原市「小田原城歴史見聞館展示物等設計製作設置業務」

事例②旧中島地区被爆遺構展示解説用映像コンテンツ制作業務

広島市は、旧中島地区にある被爆遺構展示施設で使用する映像コンテンツの制作業務を公募型プロポーザルで選定すると公示しました。

自治体ビジネスの場合、映像コンテンツなどの制作物を求める案件でも、選ぶのは事業者である点に注意が必要です。

コンペと違い、制作物のみを見て判断するのではなく、事業者の業務体制過去の受注経験も見られるため、提案書づくりの際は注意しなければなりません。

【参照】広島市「旧中島地区被爆遺構展示解説用映像コンテンツ制作業務」

事例③山口県デジタル展示・デジタルアーカイブ制作業務

山口県は、山口県内にある美術館の展示物について、デジタル化する業務の委託者を公募型プロポーザルで選定すると公示しました。

展示物の制作や展示方法についての公募ではなく、展示物のデジタル化を委託する、少し珍しい案件です。

とはいえ、美術品の収納や展示についての問題は、今後あらゆる分野で出てくる問題のため、類似の案件は今後も出てくると考えられます。

本案件の業務内容は以下の通り。

  • 収蔵品のデジタルデータ化(2D)
    ①デジタルカメラによる作品撮影
    ②ポジフィルムのデジタルデータ化(スキャニング)
  • 解説動画の撮影
  • 収蔵品のデジタル展示システムの制作(デジタルアーカイブ化)
  • タッチパネル式等にて操作できるディスプレイによるデジタル展示

【参照】山口県「デジタル展示・デジタルアーカイブ制作業務に係る公募型プロポーザルの実施について」

2.展示関連プロポーザルに参加する際のチェックポイント6つ

参加するためにチェックすべきポイントを6点紹介します。

ポイント①十分な勝率が見込めるか

今回は、小田原城歴史見聞館におけるプロポーザル案件について具体的にみていきましょう。

プロポーザルに勝つためには、やみくもにエントリーしてはいけません。大切なのは勝てる可能性があるかの見極めです。

エントリーするにあたり、チェックするポイントが大きく5つあります。ひとつずつ具体的にみていきます。

ポイント②参加資格は満たしているか

まずは参加資格を満たしているかどうかです。

『小田原城歴史見聞館展示物等設計製作設置業務 プロポーザル実施募集要領』を見てみましょう。

応募条件の中に、“地方自治法施工令第167条の4の規定に該当しないこと”とあります。プロポーザルに参加する場合は、この“地方自治法施工令第167条の4”は必ず押さえておきましょう。

これは、一般競争入札の参加資格について定められたもので、プロポーザルに参加する為には、この参加資格を満たしていることが前提となります。

参考:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/bc2/002/open/documents/sekourei167-4.pdf

それ以外にも、“会社再生法に基づいた更生手続き開始の申し立てがなされている者でないこと”や、“地方税及び国税の滞納がないこと”、“反社会的勢力でないこと”など基本的な項目が定められています。

本案件の場合、最後に“過去10年間に、国・地方公共団体等が発注する展示面積400㎡以上の博物館もしくは博物館類似施設の展示設計製作業務を元請けとして受託した実績を有すること”とあります。

すなわち、過去に同案件に携わった実績がある企業でないと参加資格を有しないため、初めて参加する企業を排除するような仕掛けがしてあります。

これは、本案件を予算化する際に、どこか企業が入って参加資格を定めている可能性があるので、既に自治体との関係性で一歩リードする競合する企業があると思った方が良いでしょう。

ポイント③業務内容は自社で対応可能か

次に業務内容について見てみましょう。

業務内容については、『仕様書』を確認します。

本案件の業務内容は大きく4つあります。

展示物設計業務」「展示物製作設置業務」「空調及び電気設備(消防設備含む)更新業務」「資料作成等補助業務」です。

これら4つの業務を自社で全てまかなえるに越したことはありませんが、業務内容によっては、自社のみでは難しいケースもあるでしょう。

その場合、実施要領にも定められているように、“連携協力事業者”と連携することが出来ま

ただし、連携協力事業者は応募者1者のみと連携し、複数の応募者の連携協力事業者となることは認めないとなっているので、もし自社のみでなく他の事業者と連携する場合は、早めにその業務が得意な業者を確保する必要があります。

この業務内容には、自社あるいは自社含め数社しか実施できない技術的要素が業務内容(仕様)に盛り込まれているケースもあるので、しっかりとチェックしましょう。

独自の技術や、他社に模倣できない製品仕様、特許・公的認証に基づく仕様などです。

ポイント④評価基準を満たせそうか

続いて、評価基準についてです。これも、『仕様書』を確認しましょう。

こちらの案件は書類審査とプレゼンテーション審査の評価基準が異なり、企業を段階的に絞り込む段階評価パターンとなります。

注意点は2点です。

まず、書類審査において、合計得点が満点の60%に満たない場合は失格となる、ということ。

そして、応募が6者以上いた場合は、「小田原城歴史見聞館展示物等設計製作設置業務書類審査採点表」に基づく採点だけでなく、別紙「小田原城歴史見聞館展示物等設計製作設置業務プロポーザル採点表」のプロポーザルを除く評価項目により提案内容の審査を行い、上位5者をプレゼンテーション審査対象者として選定することです。

つまり、最低でも60点以上、かつ書類審査採点表だけでなく、プロポーザル採点表の評点も意識した構成で書類審査にのぞまないと、下手すると書類審査で落ち、プロポーザルに進めない、なんてこともあり得るということです。

また、業務内容でも触れましたが、より高い評点を得るために、あらかじめ組める企業と包括的基本協定を組んで、連携協力事業者として登録した上で、審査に臨むと効果的です。その為にも早め早めの行動が重要となってきます。

参考:http://www.city.odawara.kanagawa.jp/global-image/units/349048/1-20180419195320.pdf

ポイント⑤十分準備出来るスケジュールになっているか

ポイント④ 十分準備出来るスケジュールになっている?

そして、スケジュールです。

案件によっては、プロポーザルの公告から企画提案書提出・応札までの期間が短期間に設定されているケースがあります。

競合が関わっている場合、他社の準備が間に合わない、あるいは準備が難しい提出物を盛り込んだり、時間をかけて調べないと企画提案書を書けないような記載項目が盛り込まれているなど、スケジュールにより、他社の参入を防ぐ意図を持ったものがあります。

準備が間に合わないと判断できる場合は、プロポーザルに参入しないという判断も重要になります。

◇プロポーザルのスケジュール

公募受付開始 平成30年4月24日(火)
質問締切 平成30年5月7日(月)午後5時00分まで
質問に対する回答予定 平成30年5月11日(金)
参加申込書及び提案書等の締切 平成30年5月18日(金)午後5時00分まで
書類審査結果通知 平成30年5月25日(金)
プレゼンテーション審査 平成30年6月1日(金)

公募受付開始から提案書提出の締め切りまで約一か月、質問に対する回答から提案書の提出までが一週間となっています。

業務内容や提案書に盛り込む必須項目を確認した上で、十分に準備された提案書を作成出来るかを早期に判断し、プロポーザルに参入するかどうかを決定しましょう

ポイント⑥予算規模は妥当か

予算についても重要です。実施要領を確認すると、提案上限額が135,000,000円となっています。

業務内容からこの範囲で予算が収まるかどうか早期に見積もりを作ってみましょう。

そもそもこの業務を予算内に実施するにあたり、想定する利益に繋がらないのであれば、再度エントリーを検討した方が良いでしょう。

これら5つのポイントをチェックした上で、プロポーザルにエントリーするかを判断しましょう。自社にとって受託する価値があるか、管理者は総合的に判断する必要があります。

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展示プロポーザル提案書の作成には情報収集が重要

展示プロポーザル提案書の作成には、何よりも情報収集!

プロポーザルで他社に勝つためには、その案件が自社でないとならない理由が提案書に盛り込まれている必要があります。その為にも、情報収集は欠かせません。

情報収集のポイントについて触れていきたいと思います。

仕様書を見れば自治体の狙いが分かる

情報収集の目的の一つは、「自治体のニーズ」を把握することです。この案件を通じて、自治体が何を求めているのかを把握し提案に反映させる必要があります。

では、仕様書を確認してみましょう。

仕様書の「7.展示物設計にあたっての留意事項」からいくつかピックアップしてみました。

  • 市民や国民旅行者はもとより、今後増加が見込まれる外国人観光客にも史跡小田原城跡や小田原北条氏の~
  • 城址公園内の他施設と重複しない内容であることはもちろんのこと、園全体で相乗効果が生まれリピーターが増える魅力的な展示や仕組みとし、その誘客効果が小田原のまち全体へ波及し、回遊性の向上や経済の活性化につながること。

キ. 館内の解説等は、日本語のほか、外国人観光客が利用できるよう、英語中国語、韓国語に対応すること。

サ.連携協力事業者の選定に当たっては、出来得る限り小田原市の地元企業を活用し、連携をとって業務を進めること。

これらから、今回のプロポーザル案件の目的が、小田原市への国内外の観光客の誘致や、地域企業の活性化を目指したものであることが見て取れます。

効果的な提案書を作成する為には、地方自治体の「総合計画※」や、「小田原市観光戦略ビジョン※」「小田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略※」など、案件に関連のありそうな自治体の施策をチェックし、自治体の置かれている状況・課題を把握し、目指している方向に対して効果的に解決策を打ち出せるかが重要です。

参考:

小田原市総合計画:http://www.city.odawara.kanagawa.jp/municipality/vision/

小田原市観光戦略ビジョン:http://www.city.odawara.kanagawa.jp/municipality/report/kanko_vision.html

小田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略:http://www.city.odawara.kanagawa.jp/municipality/tihousousei/p19318.html

競合他社の情報を手に入れよう

競合他社のホームページや、地方自治体のホームページ等で、近年の地方自治体での受注状況を確認することが出来ます。

それらを確認することで、案件の競合を予測します。情報開示請求で類似案件の競合他社の企画提案書を入手するのも効果的です。競合の強みと弱みを必ず把握してください。

収集した情報で、「自治体が重視している点を満たし、かつ競合他社にできないこと、あるいは競合他社を上回る要素」を導き出し、「なぜ競合ではなくて自社でなければならないのか」を盛り込んだ提案書を作成しましょう。

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展示プロポーザルは十分な準備をして臨もう

どのようなプロポーザル案件にも共通することですが、事前の準備や、戦略なくしては、展示関連のプロポーザルに勝つことは出来ません。

自治体のニーズを把握し、他社の動向を予測した上で、自社の強みや特徴を最大限に発揮することで、プロポーザルでの勝率が上がります。

ぜひ今回の具体事例から、自社が参入しようとしている案件に置き換えて、プロポーザルに勝つポイントを学び取っていただきたいと思います。

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