自治体の地域活性化事業とは?自治体の取り組みや事例についても解説
全国の自治体では、少子高齢化・人口流出などの社会課題に対応する目的で「地域活性化」の取組みが行われています。
取組みの内容を詳しく見てみると「地域活性化」という言葉の対象は自治体によって大きく異なります。しかしこの幅広さが逆に、多様なビジネス機会の存在を示している分野でもあります。
そこで本記事では、自治体が取り組む地域活性化の施策・案件の特徴と、民間企業が参入する際のポイントを解説します。
自治体が取り組む「地域活性化」とは
ここでは、以下の4つについて解説します。
- 法令上の「地域活性化」の定義と行政での使われ方
- 社会課題の性格に応じた取組みの多様性
- 経済・社会・環境など幅広い分野が含まれること
- 地方創生政策との近接性
自治体での「地域活性化」の定義と使われ方
自治体において「地域活性化」は、少子高齢化・人口流出などの社会課題に対応するため、自治体が経済・社会・環境の各側面で実施する取組み全般の総称として使われているのが実情です。
法令での使用例として、「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律」(平成19年法律第52号)において、地域活性化とは「全国各地域において広域にわたる活発な人の往来又は物資の流通を通じた地域の活性化(以下「広域的地域活性化」という。)」と定義されています。
ただしこれは広域交流インフラ整備を念頭に置いた法律上の定義であり、自治体の行政計画や調達の文脈では、より広く「地域の経済・社会・環境の持続的な発展を目指す取組み全般」を指す言葉として用いられることが多いです。
個別の自治体計画や仕様書を読む際には、その文脈における「地域活性化」が何を対象としているかを確認した上で対応することが重要です。
社会課題の性格に応じた取組みの多様性
地域活性化という言葉が指す内容は、自治体が置かれた社会課題の性格によって大きく異なります。
人口流出が深刻な過疎地域では「移住・定住促進」が中心となる一方、観光資源が豊富な地域では「交流人口の拡大やインバウンド対応」が主眼に置かれます。
産業基盤が弱体化している地域では「企業誘致や創業支援」が重点となり、都市周辺部では「コミュニティ維持や空き家対策」が課題の中心となることもあります。
民間企業がこの分野に参入する際には、対象自治体の固有課題を深く理解した上で事業内容を組み立てることが不可欠といえます。
地方創生政策との近接性
自治体の地域活性化施策は、国の地方創生政策と密接に関連しています。2014年に策定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」以降、各自治体は地方版総合戦略の策定が求められ、人口減少への対応を軸にした地域活性化施策を体系的に位置づけることになりました。
その後は各種補助制度を活用した事業が広く行われ、民間企業の参入機会もこうした補助制度の創設と連動して生まれることもあります。
自治体で地域活性化として扱われるテーマの例
ここでは、以下の3つについて解説します。
- 経済系テーマの具体例
- 社会・コミュニティ系テーマの具体例
- 環境・インフラ系テーマの具体例
経済系テーマ:地域消費・観光・企業誘致・雇用
経済系の地域活性化施策としては、地域消費の活性化、観光振興(DMO設立・インバウンド誘致・観光コンテンツ開発)、企業誘致(工業団地整備・テレワーク移住支援)、農林水産業の六次産業化、創業支援・スタートアップ誘致などが代表的なテーマとして挙げられます。
例えば福井県あわら市では、温泉街の魅力向上と観光客誘致を目的として、「あわら温泉を核としたまちづくり」に取り組んでいます。温泉街の空間整備に加え、データを活用したエリアマーケティング人材の育成も実施しており、観光振興を通じた地域経済の活性化を目指しています。
出典:地方創生サイト「地方創生関係交付金 採択事例集(令和7年12月)」:https://www.chisou.go.jp/sousei/about/shinchihoukouhukin/dai2sedai/pdf/katsuyoujireishuu.pdf
社会・コミュニティ系テーマ:関係人口・子育て・空き家
社会・コミュニティ系の施策としては、移住・定住促進の補助金、移住コーディネート設置、関係人口の創出、子育て支援の充実として保育所や子育て相談窓口の整備、空き家対策などが代表的な例として挙げられます。
情報発信・マーケティング支援、プラットフォーム運営、相談窓口運営など多様な形で民間企業が関与できる余地がある分野です。
例えば岡山県奈義町では、移住支援拠点の整備や住まい情報の一元化、公共交通や医療サービスのDX化を進めることで、子育て世帯や若者の移住・定住を促進しています。
出典:地方創生サイト「地方創生関係交付金 採択事例集(令和7年12月)」(https://www.chisou.go.jp/sousei/about/shinchihoukouhukin/dai2sedai/pdf/katsuyoujireishuu.pdf)
環境・インフラ系テーマ:防災・GX・エネルギー
環境・インフラ系の施策としては、防災・減災対策(ハザードマップ整備・避難体制強化)、GX(脱炭素・再エネ・省エネ推進)、公共交通の維持・再編、インフラの長寿命化・維持管理、スマートシティ構想などが含まれます。
これらは、地域活性化の趣旨を含む場合であっても、各分野における業務専門性が求められる分野です。
例えば兵庫県洲本市では、自動運転バスの実証事業を通じて、地域住民の移動手段の確保と観光振興を両立する取組みを進めています。公共交通の維持・再編というインフラ課題への対応が、地域活性化施策として位置づけられている事例です。
出典:地方創生サイト「地方創生関係交付金 採択事例集(令和7年12月)」(https://www.chisou.go.jp/sousei/about/shinchihoukouhukin/dai2sedai/pdf/katsuyoujireishuu.pdf)
地域活性化分野における自治体案件の特徴
ここでは、以下の3つについて解説します。
- 対象分野・業務内容が広範であること
- 広報・計画策定・施設運営・工事など業務形態の多様性
- 企画提案(プロポーザル)方式での調達が多いこと
対象分野の広さと案件の多様性
「地域活性化」に関する自治体案件は、上述のとおり経済・社会・環境にまたがる広範なテーマを扱うため、案件の内容や規模は多様です。
したがって、入札・公募への参加を検討する際には、「地域活性化」のキーワードで単純なスクリーニングをするのではなく、どのような領域・取組みによって地域活性化を目指す案件であるのかを確認する必要があります。
広報・計画策定・施設運営・工事など業務形態の多様性
地域活性化に関する業務は、内容の面でも非常に幅が広いです。
地域PRや観光プロモーションに関わる「広報・コンテンツ制作業務」、総合戦略や個別計画の「策定支援・コンサルティング業務」、道の駅や文化施設等の「指定管理業務」、インフラ整備に関わる「工事」まで、同じ「地域活性化」という分類の中に異なる業種の案件が混在しています。
自社のコアビジネスがどの業務形態に対応できるかを整理した上で、該当する案件類型を特定することが参入にあたっては重要です。
企画提案(プロポーザル)方式の調達が多い
自治体が業務を発注する相手方を決定する方法は、原則として一般競争入札による価格競争です。しかし、地域活性化分野の業務では、具体的な実施手法・コンテンツ・連携体制を事前に確定できないケースが多く、価格競争ではなく提案内容を重視した企画提案競技(プロポーザル)方式が用いられる場合があります。
プロポーザル案件では、地域の現状・課題の理解度、具体的な実施手法の提案力、類似業務の実績と体制が主要な評価項目となります。
自治体の地域活性化案件への参入におけるポイント
ここでは、以下の3つについて解説します。
- 実証・モデル事業から始まるケースへの対応
- 地域の実情・地元企業・団体との連携の重要性
- 企画提案(プロポーザル)方式への対策
実証・モデル事業からの参入
地域活性化分野では、日々公示される入札情報から参加する以外にも、小規模な実証事業やモデル事業として案件が発生することもあります。
実証案件は、短期的に取組みに関する費用を負担しなければならない場合もありますが、初期の実績構築の場として活用しやすいです。
実証事業で実績を積み、提案に必要なデータを収集することで、本格的な実施に移行することが期待できます。
地域の実情・地元企業・団体との連携
自治体の地域活性化案件では、その性質から入札参加資格に地域要件(当該都道府県または市区町村内に本店・営業所を有することなど)が設定されているケースがあります。
また、プロポーザル方式においては、地域の実情を理解した事業者や地元企業・NPO・観光協会等との連携体制が評価項目とされることもあります。
地域外から参入する民間企業にとっては、案件の性質によっては地元のパートナーとの連携を前提とした提案体制を組むことが求められる場合があることを想定する必要があります。
プロポーザル方式への対策
プロポーザル方式の案件に対応するためには、評価項目に合わせた提案書の設計が不可欠です。
自治体のプロポーザルでは「業務実施方針」「課題認識」「実施体制・スケジュール」「類似業務実績」「費用」が主要な評価項目となることが多いです。
プロポーザル方式の案件に参加する際の課題として、「準備の時間が足りない」「思ったよりも評価されない」等を感じられる企業担当者の方も多いと思います。
株式会社LGブレイクスルーでは、プロポーザル方式の提案書作成のご支援も対応しております。プロポーザル方式での課題を感じていらっしゃる場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
自治体の地域活性化は、経済・社会・環境にまたがる幅広いテーマを扱う分野であり、民間企業にとって多様なビジネス機会が存在する領域といえます。一方で、案件ごとに対象分野・業務内容・調達方式が異なるため、自社の強みに合致するテーマと業務形態を絞り込んだ上で参入戦略を組み立てることが重要です。
企画競争(プロポーザル)方式の案件が多いこの分野では、地域の実情の理解度と提案力が採否を分けます。早期から自治体担当者との接点を持ち、実証事業や小規模案件での実績を積み上げることが、持続的な参入につながる基本的なアプローチといえます。
株式会社LGブレイクスルーでは、BtoG市場への参入や展開を検討する企業に対し、伴走型コンサルティングを提供しています。個別相談も受け付けておりますので、自治体向け事業の検討にあたってお困りの点がある場合は、お気軽にお問い合わせください
