入札

地方自治体の入札の仕組みをわかりやすく解説!

地方自治体の入札は、公平性と地域に役立つような事業を選ぶことが重要です。

地方自治体と企業では、入札先を選ぶ基準が異なることをご存知でしょうか?

この記事では、地方自治体と企業の入札の違い・仕組み・必要な資格を紹介します。

入札時に活用したい制度なども解説しているため、ぜひ参考にしてください。

資料をダウンロードする(無料)

企業と地方自治体の入札の違い

地方自治体と企業の入札の違いをご存知でしょうか?

物やサービスを選ぶ際に、「より良いもの」「より安いもの」を選ぶ点は同じです。

しかし、企業の入札とは違う地方自治体ならではの特殊なポイントがあります。

次世代コミュニティにつながる入札が必要

地方自治体の入札に使われる資金は、自治体の住民から集められた税金です。

利益を追求した入札ではなく、税金を支払っている住民から賛同を得ることが重要。

そのためには、自治体の存続や利便性が高まるような入札を行いましょう。

子供たちが通う学校や公園、病院の建設などの福祉の充実といった公共事業です。

ほかにも道路や下水道の整備、河川の改修といった生活を便利にする事業を中心に入札が行われています。

予算の透明性が重要

地方自治体で入札に使われた落札金額・入札先などは、情報公開することが重要です。

近年、地方自治体は少子高齢化の影響で、財政難に陥っている地域が少なくありません。

一般企業と比較すると、税金による膨大な予算を抱えています。

膨大な予算がどうやって使われているのか、税金を支払う住民にとっては非常に気になる部分。

入札資金が税金で成り立っている地方自治体だからこそ、予算や使い道の透明性を高めて住民からの信頼を得る工夫をしましょう。

入札の公平性を大切にする

たびたびニュースなどでも取り沙汰されている、公共事業の入札における談合問題には十分に気を付ける必要があります。

入札の談合とは企業や地方自治体同士が相談して、事前に受注企業や金額を決めてしまうこと。

本来入札は、基準を厳しく守って行われるべき公正な競争の場です。

先に受注企業や金額を決めてしまうことは、独占禁止法でも禁止されている行為。

不当な取引制限(入札談合)
国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札の際、入札に参加する企業同士が事前に相談して、受注する企業や金額などを決めて、競争をやめてしまうことを「入札談合」といいます。

引用:私たちの暮らしと独占禁止法の関わり

上記のように、不当な取引制限として厳しく禁止されており、見つかれば大きなペナルティが課せられます。

平成15年には、全国の知事会によって談合が判明した自治体に、厳しい処罰を与える指針を発表しています。

指針を元に、平成15年1月6日に「入札談合等関与防止法」が施工されました。

入札談合等関与行為防止法は,国・地方公共団体等の職員が談合に関与している事例,いわゆる官製談合が発生していた状況を踏まえ,発注機関に対して組織的な対応を求め,その再発を防止するために制定されたものであり,平成15年1月6日から施行されています。
引用:入札談合党関与行為防止法(官製談合防止法)

つまり入札談合等関与防止法とは、国・地方公共団体等の職員が談合に関与する「官製談合」が発生していた状況を踏まえ、発注機関に対して組織的な対応を求め、官製談合の再発防止を目的としています。

資料をダウンロードする(無料)

地方自治体の入札に必要な資格

地方自治体の入札に必要な資格は、入札案件によって異なります。

資格申請自体には、原則費用はかかりません。

地方が指定する各種認証や国家資格、特定の業務の実務経験が求められることがあります。

入札資格があるか確認する際の主なチェック項目は以下の内容です。

  • 過去の実績
  • 従業員数
  • 資本額
  • 経営規模
  • 経営状況
  • 事業者の所在地
    (地方自治法施行令167条の5、167条の5の2)

地方によって、詳細な条件は異なります。

入札前に、地方が公告している公示書や入札説明書を確認しましょう。

資料をダウンロードする(無料)

地方自治体の入札ができないケース

不当な取引制限(入札談合)出典:公正取引委員会 不当な取引制限(入札談合)

条件を満たしていても、入札ができない場合があります。

地方自治体の「入札ができない場合」とは、以下3つです。

  1. 入札にかかる契約を締結する能力がないもの
  2. 破産手続開始の決定を受けてまだ復権をしていないもの
  3. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(32条の1)に該当するもの

入札ができない場合の詳細は、地方自治法施行令第167条の4に書かれています。

ほかにも下記に該当する場合は自治体は「3年以内の期間を定めて、一般競争入札に参加させない」権利が発生します。

明らかな手抜きや、数量不足などの不正行為を行なった場合
入札やせりの時に業務の妨害や、複数の事業者が不正な利益を得ようとした場合
落札した事業者の契約や契約後の仕事の邪魔をした場合
落札・契約後の自治体側の仕事の邪魔をした場合
正当な理由がなく、契約内容の仕事を行わなかった場合
契約の後で、代金をわざと高額に見積もり請求した場合
上記の理由で一般競争入札に参加できなくなった人を、代理人・支配人・使用人として使った場合

資料をダウンロードする(無料)

地方自治体の入札の種類

地方自治体の入札の種類は「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3つがあります。

明治時代に会計法が整備されて以来、時代ごとに主流となっていた入札は異なります。

戦時中の公共事業はほとんどが随意契約で行われており、競争せずに自治体が事業者を選んでいました。

現在はより多くの人が入札に参加するため、一般競争入札が主流です。

それぞれの入札方法の違いは次の通りです。

一般競争入札とは

一般競争入札とは、最も機会が均等な公正な入札です。

内容 広告を出して多くの人に入札に参加してもらい、その中で自治体にとって最も有利な条件の者を選ぶ入札方式。
長所 激しく競争が行われるため経済性があり、透明性・公正性が高い点。
短所 自治体側の事務負担が大きく経費がかかってしまう点や、広く募集するために不良・不適格な業者が入ってくる可能性が高い点。

一般競争入札は、入札の資格を有する不特定多数の希望者が参加する方式です。

中でも発注機関にとって、最も有利な条件を提示した企業と契約を締結します。

不特定多数が参加することから、透明性と公平性が非常に高く安定していることがメリット。

価格競争になるため、企業の場合利益が出ないケースがあります。

地方自治体の入札では、ほとんどが一般競争入札を採用しています。

指名競争入札とは

指名競争入札とは、不良・不適格者な入札希望者が入ってこない入札です。

内容 ※現在はあくまでも条件つきで認められている入札方式。

地方自治体が、あらかじめ限られた事業者を複数指名して、その複数の事業者の中でのみ競争させて落札者を決定。

長所
  • 先に自治体が事業者を選ぶため不良・不適格な入札希望者が参入しづらい
  • 自治体側の事務負担や経費が少ない
短所 指名される事業者が固定化し、自治体担当者との癒着をうむ点や、談合が簡単である点。

指名競争入札は、特定の入札参加企業を指名して企業同士で競い合う方式。

対象となる企業は、発注機関が各企業の資金力や信用などの情報を元に決定します。

指名競争入札が採用される主な理由は次の3つです。

  • 契約の性質や目的によって不特定多数が入札に参加する必要性がない
  • 一般競争入札方式が不利だと認められる場合
  • 予定価格が少額

入札参加を希望しても、発注機関による指名がなければ参加できません。

実績や信用性を考慮するため、実績がない新規参入企業は参加そのものが難しいことがデメリットです。

随意契約とは

随意契約とは、競争をせずに、自治体が事業者を選ぶ方法です。

内容 自治体が事業者を選ぶ方式。ほかの方式と比べて不透明のため、地方自治法や地方自治法施行令などで条件が細かく定められている。

金額が一定以下、別の法律規則で決められている、災害等の緊急性のある場合などに適用される方式。

長所
  • 競争の事務作業や経費を減らせる
  • 技術力や専門性、信用などがある事業者を選ぶことができる。
短所 事業者選抜や価格の設定において、自治体担当者と事業者の癒着や不正が起きやすい。

競争ではなく、特定の取引先を決定する方式。

随意契約が認められるのは、次の条件を満たす場合のみです。

  • 競争を許さない場合
  • 緊急性が高く入札に時間を割けない場合
  • 競争することが不利だと認められる場合
  • 障害者関係施設・認定生活困 窮者就労訓練事業施設・母子福祉団体・シルバー人材センターで生産される物品を買い入れる契約
  • ベンチャー企業の新商品の買い入れ・借り入れの締結
  • 時価に比べて著しく有利な価格で契約を締結する見込みがある場合
  • 予定価格が少額の場合

こちらは入札による競争はないものの、提示した金額が妥当か判断するために2社以上の見積が確認されます。

また、地方自治体の入札は政府調達協定(WTO協定)の規則を守らなければいけません。

  • 平成6年の「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO協定)」の「政府調達に関する協定」
  • 平成24年の「政府調達に関する協定を改正する議定書その他の国際約束」

入札資格情報、落札者などの公示を行うことが条件です。

政府調達協定の詳細は、外務省の「政府調達協定(WTO協定)」の説明を確認してください。

資料をダウンロードする(無料)

地方自治体の入札でおすすめの制度・契約

地方自治体の入札は、できるだけ「安い」物やサービスを選ぶことが原則です。

しかし、安さだけで選べば品質に問題が起きる可能性があります。

質を無視した入札の結果、行政サービス自体の質が低下することは避けたいもの。

価格が安く、良質な物やサービスを選ぶために、次の制度や方法を取り入れましょう。

低入札価格調査制度

低入札価格調査制度は、ダンピングによる行政サービスの質低下を防止するために作られました。(地方自治法施行令第167条の10)

ダンピングとは、採算を無視して商品を安売りする不当廉売(ふとうれんばい)のこと。

むやみに相場を下げるダンピングは、ほかの事業者の活動が困難になるリスクや、サービスの質の低下につながります。

制度の大まかな流れは次の通りです。

  1. 入札における「価格の上限値(予定価格)」以下の事業者を選ぶ
  2. 申し込み価格の安い事業者のサービス内容や実績・信用などをチェック
  3. 安くても、質がよくない事業者は不適格失格とする
  4. 1の基準を満たし、一定以上の質が確保できる事業者が選ばれる

最低価格で申し込んだ事業者でも、あらかじめ設定した調査基準価格を下回る場合入札ができません。

最低制限価格制度

低入札価格調査制度と同じく、ダンピング防止のために作られた制度です。

低入札価格調査制度は、申し込み価格が安い事業者の内容をチェックして、質が良くないと判断された場合不適格とするシステム。

それに対して、最低制限価格制度は、「価格の上限値(予定価格)」と「価格の下限値(最低制限価格)」を決定します。

これらの価格以下の事業者は入札前に失格とする制度です。

総合評価方式

総合評価方式は、落札者の決定において技術力や実績、表彰歴、安全性、地域貢献度などを判断基準に入れる方式です。

価格以外の判断基準は、2人以上の学識経験者の意見を元にして最終的な落札者決定を行います。

学識経験者の参加によって透明性を高めつつ、さまざまな視点から正当な落札者を決める方式です。

グリーン契約(環境配慮契約法)

グリーン契約は製品やサービスを調達するにあたって、環境負荷をできるだけ少なくする工夫をした契約です。

工事やサービスを実施するにあたり、自然環境に配慮した企業を選ぶことで、自治体の住民への配慮につながります。

たとえば、庁舎などで使用する電気の購入や、改修事業の入札ではグリーン契約が重視されます。

環境負荷を配慮したうえで、正当な契約先を決定します。

資料をダウンロードする(無料)

自治体で落札するためのポイント

自治体で落札するために、おさえておきたいポイントは情報収集とライバルのチェックです。

重要なポイントを1つずつ紹介します。

自治体にマッチする入札情報を収集する

まずはさまざまな企業や行政機関から公示されている案件をチェックして、情報収集しましょう。

案件の検索はインターネットで閲覧できる「入札情報サービス」が活用されています。

入札情報サービスによって、掲載される情報件数は異なり、入札までの期間の設定もさまざま。

有力情報を見逃さないよう、複数の入札情報サービスを定期的に確認することが大切です。

競争倍率が低い案件に入札する

知名度が高い入札情報は、競合が多く倍率も高くなりやすいもの。

入札に参加する企業が多ければ、価格競争が激しくなり予定していた落札金額におさまらない可能性があります。

無理に落札した結果、赤字につながる原因になってしまいます。

できるだけ競合がいるのか確認したうえで、競争率が低い案件を見つけましょう。

発注機関を調べて相場観や傾向を掴む

発注機関がこれまでどのような案件を扱ってきたのか、定期的に出している案件はないかといった傾向を掴みましょう。

おすすめは1~3年度分をさかのぼって、各年度の類似事業を確認すること。

過去に入札した企業や地方自治体を分析し、予算や競合先の応札価格の予測を立てましょう。

相場観を知っておけば、早めに予算を立てやすく計画的な入札につながります。

競合・ライバル企業の動向をチェックする

ライバルとなる、競合の動向を確認することが大切です。

公共事業に参入する企業は年々撤退するところもあれば、新規参入する企業もあります。

自身で調べるだけでなく競合の入札や落札情報をチェックする中で、これまでよりも低コストで良質な入札案件を見つける可能性があります。

また、ライバルの入札結果によって、過去にいくらで似た案件が落札されているのか統計を取ることが可能。

最適な見積もりを出すため、過去のライバルの情報と同時に新情報も積極的に仕入れていきましょう。

資料をダウンロードする(無料)

地方自治体の入札に役立つ法律等リンク集

地方自治体の入札に必要な法律や制度に関するリンクは、次の通りです。

入札の仕組みは複雑で、各法律や規則、通知に問題がないか、繰り返し確認することがトラブル防止につながります。

リンク集としてご利用ください。

資料をダウンロードする(無料)

地方自治体の仕組みを知って入札に参加しよう

地方自治体の入札は、「より安くより良いもの」を選ぶことが鉄則です。

今回紹介した地方自治体の入札に関するポイントは、以下3つです。

  • 税金を使用するため住民を納得させる透明性が重要
  • 入札は一般競争入札が中心
  • 良質な物やサービスを選ぶため「低入札価格調査制度」などの制度を活用する

そして税金による公共事業は住民が納得する、透明性と公平性の高さも求められています。

地域の利便性を高め、地域住民に貢献できると感じさせるような提案を心がけましょう。

もっと伸ばそう!自治体ビジネス無料資料ダウンロード

 

関連記事