自治体営業

地方自治体へ営業!その前に知っておきたい基礎知識!

地方自治体ビジネスは、将来性も安定性もある注目のビジネスです。
しかし、

  • 地方自治体に営業に行きたいが、何から手をつければいいのだろうか?
  • 地方自治体にアポ取りの電話をかけてみたら、あっさりと断られてしまった。
  • どのようなアプローチが有効なのだろうか?

とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

地方自治体への営業は、民間企業への営業方法と大きく異なります。

ここでは、地方自治体の特殊性地方自治体への営業のコツなどを、わかりやすく解説します。

目次

自治体に営業する前に ~自治体内部での承認を得るには~

自治体に営業する前に ~自治体内部での承認を得るには~

最終判断をするのは、現在・未来の地域住民

地方自治体ビジネスの契約を最終的に判断する者は、地域住民全員です。
建築物やインフラなど長期間使用される公共物であれば、未来の地域住民も関係してきます。

地域住民の代表である議員や、地域住民の代わりに仕事をしている公務員が最終的に判断するのではありません。

したがって、自治体内部で承認されるには「現在・未来の地域住民のためになるのか?」という点が重要になります。

「現在、未来の地域住民のためになるのか」を見極めるために、自治体は下記の3点をチェックしています。

1.国や地方自治体の基本方針に合致しているか

自治体の事業は、国や地方自治体の基本方針に合致していなければなりません。

特に注目されるのは下記の2点です。

・持続可能な開発目標(SDGs )に合致しているか
・地方自治体の行政計画に合致しているか

持続可能な開発目標(SDGs )に合致しているか

現在、世界中で推進されている「持続可能な開発目標(SDGs )」は、地方公共団体に対しても大きな影響力があります。

この「持続可能な開発目標(SDGs )に合致しているか」という点は、承認の大きなポイントです。

地方自治体の行政計画に合致しているか

地方公共団体は、優先して取り組む行政計画を発表しています。
その行政計画に合致しているかという点も承認の際の大きなポイントです。

2.国際人権規約や世界人権宣言に合致しているかどうか

「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」
引用:
世界人権宣言 第1条

人権は、すべての行政政策よりも優先して守られるものです。
地方自治体内で承認を得るためには人権の視点が最も重要です。

3.気候変動対策に対応しているか

気候変動対策は、世界規模で進んでいる大きな課題です。
もちろん世界の一部である地方自治体組織も、真摯な気候変動対策を求められています。

「気候変動対策につながるか」という視点も重要な承認基準です。

自治体営業ならではの5つの課題とは

自治体は民間企業と大きく異なる性質を持ちます。
そのため、自治体営業ならではの課題が存在します。

課題①自治体同士が離れている

当然といえば当然ですが、自治体は1つの市町村に1つしかありません。
そのため、営業や商談の移動に時間がかかってしまいます。

民間企業であれば近隣エリアに複数の企業があるのが普通であり、自治体営業ほどコストはかかりません。

通常のビジネスに比べ、人件費や交通費など様々な面でコストがかさむのが自治体営業の課題といえるでしょう。

課題②民間と予算組みサイクルが異なる

年間を通じて営業チャンスがある民間企業と異なり、自治体では予算が前年度にほとんど決まってしまいます。

自治体特有の予算組みサイクルを把握しなければ、自治体ビジネスにおいて勝機はありません。

自治体は、6、9、12、3月に議会が開かれ、新たな事業においての予算捻出においては、これらの議会で承認される必要があります。

最終的に3月の議会で予算を確定されるため、企業側は以下のようなスケジュールを意識して営業をおこなうとよいでしょう。

時期 自治体の動き 企業の営業活動
4~6月 次年度事業の情報収集を始める 自治体に情報提供をする
7~9月 次年度事業の情報を精査する 自治体に営業として接触する
9~12月 各部門の意思決定がされる 見積書の提出など詳しい情報提供をする

課題③保守的・前例的である

自治体に対して、「お役所は頭が固い」「新しいことにチャレンジしない」といった印象を持ったことはないでしょうか。

自治体の事業は、確かに保守的・前例的な傾向があります。

自治体が保守的・前例的なのは、財源が国民からの税金であるためです。
税金が元になっているため、どうしても慎重にならざるを得ないのです。

そのため、事業者の選定にあたっては、前例と実績が重要となってきます。

自治体同士の業務は似ているため、新たに営業をかける際も、別の自治体での実績を提示するとスムーズに進みやすくなるでしょう。

課題④リードタイムが長い

担当者やトップの一存で決裁が下りる場合もある民間ビジネスと比べると、自治体のリードタイムは非常に長いです。

予算組みには議会の承認が必要なため、営業のタイミングによっては一年後に検討となる場合もあるでしょう。

また、特定の事業が複数の部署にまたがっているケースも少なくありません。
さらに書類決裁が基本となっている点も、リードタイムの長さに拍車をかけています。

余裕をもったスケジューリングで行動し、担当者と密に連絡するように意識するのが大切です。

課題⑤契約プロセスが複雑

自治体で契約するためには、入札や公募といった手続きを踏まねばなりません。
予算組みが通ったとしても、すぐに契約とはいかないのです。

これはなぜかというと、前述の通り自治体は国民の税金を使って事業を実施するため、事業者の選定にあたっても公平性透明性を確保しなければならないためです。

そのため、自治体での営業を契約につなげるためには、入札や公募システムの理解も欠かせないポイントとなります。

自治体営業の課題を解決するためのポイント

自治体営業での課題は、裏返せば攻略のポイントにもなります。

民間企業との違いをふまえ、自治体に求められる営業活動を心がけるのが最大のポイントです。

ポイント①効率よく質の高いリードを獲得する

自治体ビジネスは営業にコストがかかるため、効率よく質の高いリード獲得を意識しなければなりません。

リード:見込み客や見込み客がもつ情報のこと

質の高いリードを獲得するのにおすすめなのは、下記3つの方法です。

展示会

展示会では、業界ごとの最新情報が紹介されており、自治体職員もしばしば来場しています。

関心の高い自治体職員と出会える可能性が高く、リード獲得には絶好のチャンスです。

ただ大都市圏の開催が多い点と、オンライン開催が増えており自治体職員と顔を合わせる機会が減少している点が難点です。

メディア

昨今では、自治体職員向けのフリーペーパーや情報誌、Webマガジンなどが存在します。

こうした自治体職員向けメディアへの掲載を狙うのも、質の高いリード獲得につながりやすくなります。

メディアに載ると実績への信頼性が増しますし、メディアを読む自治体職員は自治体業務への興味関心が高いケースが多いためです。

自治体は基本的に紙ベースで仕事が進むため、営業をかける際は紙媒体のメディアを持っていく方が効果的です。

営業代行

営業にかける時間を削減したいのならば、営業代行を利用するのもおすすめです。

営業代行の専門業者は、主にメールや電話を活用して営業を代行してくれます。

企業はリードがある自治体にのみ営業をかけられるため、時間とコストを大幅に削減できます。

ポイント②予算以外の差別化できる強みを作る

予算以外の差別化できる強みを持っていると、落札率を上げられる上、利益率も高くなります。

自治体営業を考えている時点で入札や落札の話を考えるのは早計に感じるかもしれませんが、前述の通り自治体営業はコストがかかります。

そのため、「自社の得意分野」「自治体が求める課題解決」をかけあわせて、集中的に営業をかけ、確実に落札できそうな案件を狙っていかねばなりません。

落札率をあげるベストな方法とは、事業化の際に自社の見積書を元にした予算や仕様書を作成してもらうことです。

自社の見積書を採用してもらうためには、価格以外の部分で勝負できる強みを提示し、他社と差別化をした上で価格の合理性を理解してもらわねばなりません。

価格以外の強みがきちんと提示できれば、価格はそこまで問題にならず、むしろ高い金額の方が喜ばれるケースもあります。

また、昨今では価格以外の部分を重視する入札方式や落札方式が増えているため、落札チャンスを増やすことにもつながるでしょう。

ポイント③自治体ビジネスの仕組みを知る

民間ビジネスと自治体ビジネスは、大きく仕組みが異なります。
予算組みスケジュール、契約プロセス、職員の意識など細かいところまで様々な違いがあります。

ビジネス経験が多いと、「今までの経験を活かせば自治体ビジネスでも通用する」と思うかもしれません。

しかし、そもそもビジネスの仕組みが根本的に異なるため、今までの経験や営業方法がむしろ障害になるおそれもあります。

自治体ビジネスの仕組みはわかりにくい分、知っているかどうかが大きく成否に影響します。
最初は、自治体ビジネスをフォローしてくれるサービスを活用するのも1つの手でしょう。

ポイント④水平展開で実績を積み重ねる

前述の通り、自治体ビジネスでは実績前例が何より重要です。

自治体ビジネスは水平展開で進め、ある自治体の実績を持って他の自治体に営業をかけたり、入札に参加したりするようにしていきましょう。

最初の落札は非常に大変かもしれませんが、長い目で計画を立てて取り組むと、後々有利な入札につながります。

自治体担当者にアポ取りするためには?

自治体担当者にアポとりするためには?

よくあるアポ取り失敗例

民間企業と同じアポ取りをしても、地方自治体では失敗するケースがあるので注意が必要です。

いつもは、地域住民や企業からの問い合わせに真摯に対応している地方自治体でも、次のようなアポイントの申し入れに対しては、冷淡な対応が返ってきます。

地方自治体のアポ取りNGワード3選

  1.  「弊社の製品・サービスをご案内したい」
  2.  「ぜひご挨拶にお伺いしたい」
  3.  「近くに寄るのでついでに顔を出したい」

このような申し入れに対する地方自治体の回答は、「忙しくて時間が取れないので資料を送ってください。必要なら連絡します。」です。

この回答をもらってしまうと、アポ取りは失敗。

 民間企業に対して通用するこのアポ取りワードが、地方自治体では通用しないのは何故でしょうか?

アポ取りを成功させるには?

上であげたアポ取りワードを使って失敗する理由は、単純です。

地方自治体がいつも最優先で考えていることは「地域課題の解決」であり、それ以外は不要もしくは後回しであるためです。

地方自治体や地方自治体窓口の担当者が見ているのは、「その商品やサービスは、今担当している地域の課題解決に、本当に役立つのか?」です。

地方自治体の職員は、地域住民からの要望に答えることが最優先。

特に、住民の人命や健康、権利の侵害に対しては、すべての仕事に優先して迅速に対応します。
民間企業の商品やサービスのセールスに対応する時間がありません。

アポ取りで断られてしまうのは、その商品やサービスや自治体側担当者に問題があるわけではなく、「アプローチの方法が間違っているから」です。

方法を少し変えるだけで、アポ取りの成功率がグッと上がります。

たとえば、次のとおりです。
民間企業とは違う地方自治体の特性を踏まえて、アプローチしてみましょう。

「この商品(サービス)は、〇〇(その課が抱える地域課題)や△△(行政計画)に貢献できます。」

「〇〇(その課が抱える地域課題)や△△(行政計画)に役立つ情報です。

などです。

 では、その地方自治体のその課が「抱える地域課題」や「行政計画」を知るにはどうすれば良いでしょうか?

 自治体職員へのヒアリングで情報収集を

 自治体職員へのヒアリングで情報収集を!

自治体へのヒアリングは、下記の流れでおこないましょう。

  1. 公式ホームページのチェック
  2. 電話でアポ取り
  3. 自治体への直接訪問

ひとつひとつ説明します。

公式ホームページをチェックしてみよう

地方自治体がしている仕事や今後おこなう仕事について、積極的に地域住民に公開しています。
地域住民からの問い合わせに真摯に答えるのも、公務員の重要な仕事です。

IT化が進む中、従来書類配布や自治体職員の口頭説明という形の情報公開が、ウェブ上でされるようになってきました。

地方自治体の公式ホームページには情報がたくさんあります。

選挙で選ばれた首長(都道府県知事・市町村長)のメッセージや、地方自治体の行政計画などから、現在と未来の情報が得られます。

さらに、地方自治体内の別の部局で同じ内容の仕事をしていることもあります。

公式ホームページによる情報収集の際は、自社の事業に関連する管轄の担当課、担当係、担当者をチェックすることをおすすめします。

電話でアポ取りしてみよう

公式ホームページを読み、地方自治体で進行中の方針や計画や担当課、担当者がわかったら、電話でアポ取りをします。

 (1)電話する時間帯

電話をする時間帯は、午前中がおすすめです。
職員は17時には帰りますので、16時以降のアポ取りは避けた方が良いでしょう。

(2)電話の内容は具体的に

 具体的に「○○日の○○時か△△日の△△時はどうでしょうか?」と話すと話がスムーズに進みます。

(3)行政計画や方針を踏まえてアピール

地方自治体の担当者の心に届くように、単に商品やサービスを案内するだけでなく、行政計画や行政の方針を踏まえてアピールすることをおすすめします。

「行政計画の○○対策での対応はどうされているのか、聞かせてください」
「〇〇対策でご説明したいことがあります」

などのような聞き方をおすすめします。

地方自治体へ訪問してみよう

アポ取りに成功したら、いよいよ地方自治体に訪問です。

地方自治体職員がいつも悩んでいるのは「地方自治体が抱えているたくさんの課題」と「それをどう解決するか」です。

できれば、雑用はやめて、その課題に集中し取り組みたいと思っている職員がほとんどでしょう。

まずは、その「地方自治体が抱えている課題」と「課題への対応状況」を確認してみてください。

課題をしっかり理解すれば、自社の商品やサービスをアピールするためのチャンスが生まれます。

アポ取りせずに直接訪問でも大丈夫!

電話でアポ取りをしたとしても、「担当者がいない」や「今忙しい」「出張中」「会議中」などの理由で断られる場合があります。

また、「電話でのアポ取りがちょっと苦手」と感じる方もいるでしょう。

そういう場合は、直接、地方自治体に訪問するのもアリです。

大事なのは、「地方自治体が抱えている課題」と「課題への対応状況」をしっかりヒアリングすることです。

そこから道が開けるため、是非チャレンジしてみてください。

地方自治体におけるコンプライアンス

 地方自治体におけるコンプライアンス

せっかく努力してヒアリングし情報を集め、商品・サービスを認めてもらい、うまく契約を結べたとしても、コンプライアンス違反に該当すれば、全てが水の泡になってしまいます。

地方自治体は国と同様、コンプライアンスに大変厳しい組織です。

公務員の憲法尊重擁護義務

憲法は、政府や行政組織が人の生命や権利を侵害しないように縛っている法律です。

公務員は特別な権力(公権力)を持っているため、その公権力を悪用しないよう常に監視されています。

 公務員は皆、採用されたその日に最初に「憲法を尊重し、擁護する」と書類上で宣誓します。

人の生命や健康、権利、財産、尊厳を侵害する行為は絶対に許されません。

取引のある企業や個人との癒着防止規定

地方自治体と民間企業との取引で一番関係するのは、公務員倫理規定のうちの「企業との癒着防止規定」です。

 たとえば、

  1. 公務員が利害関係のある者から接待を受ける
  2. 公務員が利害関係のある者から者や金品を貰う
  3. 公務員が利害関係のある者から車で送迎を受ける
  4. 公務員が利害関係のある者と旅行をする

 などです。

 営業対象の地方自治体の倫理規定を事前にチェックすることをおすすめします。

基礎知識とポイントをおさえて、地方自治体に営業しよう

 地方自治体に営業:まとめ 

地方自治体では、民間企業にはない視点で業務が進んでいます。

地方自治体の一番の関心ごとは「地域の課題を解決できるのか?」ということです。

この一番の関心ごとを把握し、地方自治体に自社商品やサービスの良さをアピールする必要があります。

 地方自治体営業のコツを覚えれば、当該地方自治体だけでなく、他の地方自治体でも応用できます。

将来性も安定性もある地方自治体ビジネスに是非チャレンジしてみてください。

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