自治体プロモーションの種類は4つ!PRとの違いや地方創生に役立つヒントも
取引先が民間企業でも自治体でも、自社のビジネスに興味を持ち採用してもらうにはプロモーションが欠かせません。
民間企業と自治体では最適なプロモーションの仕方や種類は微妙に異なりますが、いずれにしても基本を知っておく必要があります。
今回の記事では、
・プロモーションの担当者になったけどなんとなくでしか把握していない
・現状のプロモーションが最適なのかわからない
・どのようにプロモーションを展開すべきか判断するために種類や特徴を知りたい
といった方に向けて、プロモーションの種類や手法について詳しく解説します。
PRとの違いや、今注目の自治体ビジネスにおけるプロモーションの注意点についても説明するので参考にしてみてくださいね。
目次
プロモーションの種類は4つ

「広告宣伝活動」と訳されることが多いプロモーション。
プロモーションの種類は大きく分けて4つあります。
ここでいうプロモーションは、企業と顧客の間で行われるコミュニケーションのすべてを指します。
広義の意味でのプロモーションだという点は注意しておきましょう。
(後述しますが狭義の意味でのプロモーションも4種類あります)
プロモーションの種類①広告宣伝
プロモーションの中でも最も代表的な種類が広告宣伝です。
テレビCM、新聞や雑誌などの広告、ネット広告などが該当します。
広告宣伝は商品やサービスを確実に認知させられるのがメリットです。
その代わりに費用がかかるというデメリットがあります。
プロモーションの種類②パブリックリレーションズ(PR)
パブリックリレーションズとは、企業と消費者の間によい関係を築くことを目的とした活動です。
最終的に企業のファンになってもらうことを目的として、メディアへの露出を狙う活動全般をさし、広報活動と呼ばれることもあります。
具体的にはプレスリリースを発信したり、話題性のあるイベントを開催したりして、新分やテレビ、雑誌などに記事として取り上げてもらうことを目指します。
広告宣伝と異なるのは、確実に露出できるかわからないという点です。
確実性が少ないのはデメリットですが、一般的にかかる費用が少ない点や、自然な形で好感度を上げられるという点がメリットです。
参考:PRとは|dentsu
パブリックリレーションズとは|日本パブリックリレーションズ協会
プロモーションの種類③セールスプロモーション(販売促進)
広告宣伝よりも直接的に購入意欲を促進させようというプロモーションがセールスプロモーション(販売促進)です。
狭義の意味では、セールスプロモーションをプロモーションと呼びます。
具体的には店頭でのPOP、特典、クーポン、景品、くじ、サンプリング、デモンストレーション、チラシ、割引などの価格訴求などのことです。
購入意欲をかきたてやすいのがメリットですが、費用がかかる点、継続性に欠ける点などがデメリットです。
プロモーションの種類④人的販売
セールスプロモーションの中でも、人が関わって販売する形を人的販売として区別します。
営業マンによる営業活動、実演販売、訪問販売、販売促進イベントなどが人的販売にあたります。
より購入率をあげられるのがメリットですが、押しつけを感じやすく潜在的な意欲低下を招くこともある点や人的コストが高い点がデメリットといえます。
新たな種類のプロモーション:SNS、口コミ
従来は上記4つをプロモーションとして分類していましたが、近年はSNSや口コミによるプロモーションも無視できないレベルで影響力を持つようになりました。
SNSや口コミは企業へのファンを作りやすく、一度火が付くと爆発的な勢いで拡散していくという点に大きなメリットがあります。
運用にほとんどコストがかからない点も魅力的です。
ただどういうときに拡散していくかが読みにくい点、拡散したとしても「炎上」というマイナスイメージの拡散がありうる点がデメリットと注意点です。
プロモーションとPRの違い

プロモーションは企業と顧客の間にあるコミュニケーションのすべてを指します。
一方、PRも企業と顧客の間によい関係性を築くことを目的としており、コミュニケーションが必要なのは言うまでもないことです。
字面や語感が似ているせいもあり、PRとプロモーションを混同している人はかなり多いもの。
PRはプロモーションに含まれているので、同じ部分を持つことも確かです。
ただ狭義の意味でのプロモーション(販売促進活動)とPRでは、企業のアプローチ先が異なります。
プロモーションでは企業は直接顧客にアプローチし、購入を促進します。
PRでは、企業は主にメディアにアプローチし、メディアへの露出を狙います。
| プロモーション | PR | |
| アプローチ先 | 顧客(一般ユーザー) | メディア |
| アプローチ方法 | 直接的 | 間接的 |
| コミュニケーションの仕方 | (ほとんど)一方通行 | 相互通行 |
混同して使ってしまうと誤解を招く可能性があるので、打ち合わせや商談の際にPRやプロモーションというワードが出てきた際は一度確認したほうが確実です。
販売促進に特化した4種類のプロモーション手法

狭義の意味でのプロモーションでは、具体的に4つの手法が存在します。
顧客に認知させ、購入意欲を促進するという目的は共通していますが、それぞれ特徴やメリットデメリットが異なります。
自治体ビジネスにおいて直接的に活用できるとは限りませんが、前提としてそれぞれの手法を把握しておきましょう。
狭義のプロモーション種類①試用手法
お試しや無料サンプルなど、無料で試してもらい購入につなげるプロモーション手法を試用手法とよびます。
試用手法には大きく分けてサンプリング、モニタリング、デモンストレーションの3種類があります。
サンプリングは店内の試食や無料サンプルの提供などで、モニタリングは一定期間試しに使ってもらうこと、デモンストレーションは化粧品や家電などを店頭で披露することです。
いずれも実際に商品を試すことができるため、自分に合うかどうかがわかり購入につなげやすくなる、消費者の反応を集めることができ改善につなげられるというメリットがあります。
サンプルやデモンストレーションにそれなりのコストがかかる点がデメリットです。
狭義のプロモーション種類②プレミアム手法
プレミアム手法とは、店舗に来店者や購入者に対して景品や特典を用意する形で来店、購入意欲を促進するプロモーション手法です。
魅力的なおまけを用意することで、来店や購入のきっかけと決断の後押しをしてくれるのがメリットです。
主となる商品をきちんとしておかないとリピートにつながらない点や、費用対効果が悪くなることもある点がデメリットと注意点です。
狭義のプロモーション種類③プライス手法
クーポンや期間限定セールなど、限定的な値引きで購入を促進するのがプライス手法です。
単なる値引きではなく、「限定的」という点に特徴があります。
多くの消費者は「限定」という言葉に強く反応し、消費活動に動きやすくなります。
「限定品」「今だけ」という言葉でつい買ってしまった、という経験がある人もいるのではないでしょうか。
購入に対する訴求力の強さが大きなメリットですが、効果も一時的である点がデメリットです。
継続性を考えるのならば別のプロモーション手法と組み合わせるなど、工夫する必要があります。
狭義のプロモーション種類④制度手法
スタンプカードの発行や会員登録、定期購入などをするとメリットがあるようにして、リピーターにつなげるプロモーション手法が制度手法です。
他のプロモーション手法で獲得した新規顧客をリピーターにつなげるためによく使われます。
リピーターになりやすい点だけでなく、顧客とのコミュニケーションを増やすことでマーケティングにも役立つ点がメリットです。
ただ注意しないとマンネリ化する点や商品価値の下落につながるおそれのある点には注意が必要です。
自治体ビジネスの鍵となるシティプロモーションの流れ

ここまで紹介してきたプロモーション手法は主に民間企業と一般消費者を想定したものですが、基本的なプロモーションの種類や考え方は自治体ビジネスにも役立ちます。
少子高齢化と都市への人口集中、地方の過疎化がますます進む昨今、地方自治体が自らプロモーションを行う「シティプロモーション」が盛んになっています。
シティプロモーションは地方自治体への観光客流入や移住者、転入者の増加を目的として行われるものですが、ノウハウのない自治体も多く、民間企業へ委託して行う自治体も少なくありません。
シティプロモーションの活性化に伴い、自治体を顧客とした自治体ビジネスに今注目が集まっています。
シティプロモーションの民間委託をしている自治体は多い
シティプロモーションは地域住民にあてた広報活動とは性質が異なります。
シティプロモーションのターゲットは目的により様々ですが、より柔軟で求心力のあるプロモーションが必要となり、ノウハウのない自治体職員だけでは対応が難しくなってきています。
そのため、シティプロモーションの民間委託をしている自治体は多数あります。
ただ委託内容は千差万別で、包括的に委託する自治体もあれば、調査分析をメインとするもの、PR活動やプロモーション活動をメインとするものまで様々です。
多くの自治体では、地元の中小企業を優遇したり限定したりして募集しているので、まずは地元の自治体を調べてみるのが先決でしょう。
広報・シティプロモーション戦略策定業務の外部委託~媒体側・受注側・発注側のすべてを経験した事例から
自治体と民間企業の違いを知る
自治体の委託業務に応募することは、言ってみれば自治体に営業をかけるようなものです。
とはいえ、自治体と民間企業はその性質に大きな差があり、民間企業で通用する営業スキルが生かせるとは限りません。
自治体と民間企業の違いは多数ありますが、最大の違いが「自治体は地域課題の解決が目的である」という点です。
民間企業は自社の利益を追求するのが目的なので、それをイメージしてプレゼンをするとずれてしまう可能性があります。
また、民間企業のように接待や挨拶などをしても有利にならないばかりか、癒着を疑われて敬遠されるといった違いもあります。
自治体への営業を考えるときは、自治体の倫理規範やコンプライアンスを確認してから行うべきでしょう。
プロモーションの種類を把握して自治体ビジネスに活かそう

今回の記事では
・プロモーションには広い意味と狭い意味があり、それぞれ4種類に分けられる
・プロモーションとPRはユーザーへの直接的アプローチか否かなどが異なる
・シティプロモーションという自治体ビジネスの流れがある
といった点について解説しました。
通常のビジネスにおいても、自治体ビジネスにおいても、プロモーションの基本的な考え方をおさえておくことは大切です。
基本的な点をおさえたうえでビジネスに活かしていきましょう。
参考:
プロモーションとは?マーケティング・PR担当者がおさえておくべき効果的な手法と活用事例|ニッチメディア
プロモーション戦略 1.種類と方法|マーケティング教科書
販促の手法を体系的に学ぶ。販促プロモーション手法4つの分類とは?|プロモーションにお悩みの方々へ

