販促(販売促進)の意味とは?種類、方法、実際の事例について紹介

マーケティングや営業担当の方なら「販促」の言葉を知らない方はいないでしょう。
ただ何となく意味は知っていても、販促のために何をしたらいいのか、販促の方法にはどんなものがあるのか知りたいと思う方は案外多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、販促の意味、方法などについて具体的に紹介します。
実際の事例も紹介するので参考にしてみてください。
販促(販売促進)とは?
販促とは販売促進の略語で、消費者に購入を促すために行う様々な活動をさします。
自社の商品やサービスの良い点をお客様に伝えて興味を持たせる入り口から、実際に購入に踏み切らせるためのきっかけづくりと後押し、両方をさしています。
「セールスプロモーション(Sales Promotion)」というビジネス英語を和訳した言葉で、現在では販促、セールスプロモーションのどちらの言葉もよく使われています。
間違えやすい販促の本当の意味
販促は消費者に購入を促すための様々な活動をさしますが、単に「売るための技術」や「購入させるためのきっかけづくり」のみをさすわけではありません。
実は販促の意味を間違えて理解している人が非常に多いのです。
そのため、販促をしても売れない、うまくいかないケースが出てくるのです。
販促の本来の意味は、「Sales Point Promotion」、つまり「自分の会社の良さ(Sales Point)」をお客様に「促進して伝えること(Promotion)」です。
ここで注意すべきなのが、会社の良さ=お客様にとっての良さだということです。
会社側が一方的に良いと思っている点だけをプロモーションしてもお客様には響きません。
販促を行う際は、「(お客様にとっての)会社の良さ」を「きちんと余さず伝えること」を意識しましょう。
それでもうまくいかない場合は、会社の良さ自体が欠けているか、勘違いしている可能性があります。
まず会社や商品、サービスの良さを見直すところから始めなければなりません。
なぜ販促が必要なのか?
そもそも、なぜ販促が必要なのでしょうか。
現代はモノも情報も溢れすぎていて、ただ売り出しただけでは売れない世の中になっているためです。
価格の比較も口コミの比較も容易になっており、大々的に広告を打ってもあっさりと無視されます。
そんな時代だからこそ販促はビジネスに欠かせないものとなっているのです。
販促の種類3つ
販促には様々な方法がありますが、それらは大きく分けて3つの種類に分類されます。
販促の種類①認知度向上のための方法
最初に必要な販促が認知度向上のための方法です。
認知度向上は新規顧客を獲得するために欠かせません。
店頭で目立つ位置に配置したり、広告やプロモーション戦略で知名度を高めたりといった方法があります。
販促の種類②購入、消費を促すための方法
認知度を高めたら購入、消費を促す販促が必要です。
認知度向上の販促は直接購入に結びつくとは限らないためです。
クーポンやノベルティによりお得感を出したり、試し買い専用の商品やサービスを用意してハードルを下げたり、スタッフの教育を高めて魅力を直接アピールしたりといった方法があります。
昨今ではSNSなどを活用したプロモーションもよく行われています。
販促の種類③リピートしてもらうための方法
新規顧客の獲得よりも、既存顧客の囲い込みのほうが容易です。
そのため、リピートしてもらうための販促も非常に重要です。
ポイントインセンティブによる方法や会員の組織化、次回利用のクーポン配布などの方法が代表的なものです。
販促の方法12種
続いて実際に販促の方法を12種類紹介します。
認知度向上のための販促方法5種
認知度向上のための販促方法として代表的な5種類の方法を紹介します。
① CMや新聞広告
ネット全盛の昨今でも、テレビCMや新聞広告はやはり効果的な方法です。
特にテレビ広告は非常に効果的ですが、コストが高いのがデメリットです。
② インターネット広告
販促を考えるときにオンラインのプロモーションはいまや欠かせないものです。
認知度向上を狙うのならば、費用をかけてインターネット広告を出すのが確実です。
テレビCMよりもコストは低くすみますが、ターゲットが明確な場合はある程度の戦略が必要です。
また地域性の高いビジネスとの相性はあまりよくないのでその点も注意しましょう。
③ ビラ・クーポン配布
地域性の高いビジネス(美容院や飲食店など)と相性が良いのがビラ・クーポン配布です。
地域のフリーペーパーを活用したり、手渡しで配ったりといった方法があります。
④ 看板や街頭広告
店舗を持って行うタイプのビジネスには看板や街頭広告も認知度向上に大きく役立ちます。
ただ競合が非常に多いので、差別化に工夫が必要です。
⑤ SNSの運用
SNSの運用は昨今の販促方法として非常に重要な役割を持っています。
現代ではSNSを運用していないビジネスの方がまれかもしれません。
低ハードルなのに、非常に高いポテンシャルを秘めているためです。
SNSのメリットはコストがかからないこと、潜在顧客とのコミュニケーションが容易なこと、若い世代や海外とのチャネルが作りやすいこと、爆発的な拡散=認知度向上がありうることなどです。
デメリットとしてはある程度のマメさが必要なこと、ネガティブな拡散もありうることなどです。
購入・消費を促すための販促方法4種
続いて購入、消費を促すための販促方法を4種類紹介します。
⑥ 試用手法(サンプリング)
初めての購入に対するハードルを下げる販促方法が試用手法(サンプリング)です。
試用手法にはサンプル配布(試食、試飲なども含む)、初回購入の大幅値引き(いわゆるお試し購入)、デモンストレーションなどがあります。
実際の使い方や味などを試すことで自分に合うかどうかわかり、購入につなげやすくなります。
人的コストやサンプル商品にかかるコストなど、コストがそれなりにかかる点がデメリットです。
⑦ プライス手法
プライス手法とは価格の面でメリットをアピールし、購入や消費を促す販促方法です。
値引きやクーポン、期間限定セール、セット販売による値引きなどがあります。
特に限定感が強くなるとプライス手法は強力なものとなります。
人間は「限定」という言葉に弱いためです。
訴求力の高さがメリットですが、値引きした分利率を圧迫する点や効果が一時的な点がデメリットです。
⑧ プレミアム手法
購入や消費、来店に対しておまけや特典を用意して購入などを促す手法がプレミアム手法です。
プライス手法同様、限定感が強くなると訴求力は強くなります。
ただデメリットも同様で、コストがかかる点や効果が一時的な点に注意が必要です。
⑨ 店員の教育
即効性はありませんが、長い目で見ると非常に重要な販促方法なのが店員の教育です。
対面販売を行うビジネスにおいては、店員の行動や立ち居振る舞いが実はかなり大きな割合を占めています。
マニュアルを作成することである程度計画的に進められますが、本当に高いレベルを目指すには本人の資質、意欲、経験が必要で時間もコストもかかる点が注意点です。
リピートしてもらうための販促方法3種
最後にリピートしてもらうための販促方法を3種類紹介します。
⑩ ポイントインセンティブ
リピートしてもらうための販促方法として多くのジャンルで取り入れられているのがポイントインセンティブです。
効果は高いのですが、ポイントカードの作成自体を嫌がる消費者も一定数存在するので最初のハードルを極力低くする工夫が必要です。
⑪ 会員の組織化
ポイントインセンティブの効果をさらに高める方法として、会員の組織化があります。
これはポイントユーザーの中から特に消費額の多いユーザーに向けて特典を用意し、さらなる購入を促すシステムです。
人はランク付けされると無意識に上位ランクを目指そうとしてしまいます。
その心理を活用したヘビーユーザー育成用のシステムです。
特典やランク付けに工夫が必要なのが注意点です。
⑫ メールやSNSによるクーポン配布
メールマガジンやSNSのフレンドになることによってクーポンを配布するのもリピーターの育成に効果的です。
プライス手法やプレミアム手法の亜種ともいえるので、期間が限定的だとさらに効果的です。
登録が面倒だったり連絡が頻繁で煩わしかったりすると消費者の心理が離れてしまうので登録時と運用には注意が必要です。
販促の具体的事例2選
販促方法について知ったところで、販促の具体的な事例を2選紹介します。
desir おねだりプロモーション:トリンプ
購入、消費を促す販促として行われたのがトリンプの「おねだりプロモーション」。
通常下着というと自分で買うことが多いですが、トリンプのおねだりプロモーションでは恋人やパートナーに「おねだり」して買ってもらうという販促キャンペーンを行いました。
このキャンペーンは購入・消費を促すためにシステム自体を工夫した販促方法です。
男性女性双方の心理を巧みについた販促となり、なんと8割近くの男性がおねだりに応じたそうです。
「下着売り場に行くのは気が引ける」「けど女性に喜ばれるプレゼントは贈りたい」という男性のニーズとちょっとの下心を巧みに利用し成功した販促事例です。
※現在このキャンペーンは終了しています
参考:男の下心を利用した下着メーカーの通販システムが天才すぎる!
下着・ブラジャー・ショーツのTriumph(トリンプ)
おいしい欠席:ドミノ・ピザジャパン
購入・消費を促すこととリピートさせることの両方を叶えられる販促方法を提案したのがドミノ・ピザジャパンの「おいしい欠席」です。
おいしい欠席とは、写真とメッセージの入ったピザを欠席先に届けられるサービスのこと。
このサービスにより、「休んだ時はピザを送る」というリピートの動機づけが可能になるうえ、「誰かに食べてもらうためにピザを注文する」という新しい注文動機に気付かせることも可能になります。
自治体ビジネスで販促を考えるときのポイント
自治体ビジネスにおいても、販促を必要とする入札やプロポーザルは存在します。
多いのは「地元の名産品を販促してほしい」という形でしょう。
(地元の名産品をブランド化するというように、戦略そのものから依頼されることも多いです。)
自治体ビジネスにおいても販促の手法や考え方の基本は同じです。
小手先の技ではなく、販促するものの本当の良さをきちんと伝えることを意識しなければなりません。
また自治体ビジネスはある程度中長期にわたってプロジェクトに取り組むことが多いです。
そのため、販促以前にマーケットの特徴や規制などターゲットの分析も非常に重要です。
(もちろん通常の販促でも重要ではありますが)
例えば近年販促先として海外をとらえる地方自治体は多いのですが、海外で販促するときは輸出入の際にかかる規制や流通経路に関する課題、価格など販促物以外の問題が非常に多く出てきます。
「いいものならば必ず売れる」わけではないことも多々あるので、周到な用意と戦略が必要です。
目的に合わせた販促方法を
今回の記事では販促の意味や方法、具体例について紹介しました。
販促は商品やサービスの特性、目的ごとに最適な方法が異なります。
基本を知って目的に合わせた販促方法を選びましょう。