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第3回 第4回 予算書づくり | 他社に仕掛けたい3つの参入障壁、自治体ビジネスの正しい価格戦略とは?

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第3回 第4回 予算書づくり | 他社に仕掛けたい3つの参入障壁、自治体ビジネスの正しい価格戦略とは?

2021.07.13

官民連携コラム

目次

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今回から「予算書づくり」を大きなテーマに据えお伝えしていきます。

「第3回 「予算書づくり」で他社に仕掛けたい3つの参入障壁!自社を有利にするポイントとは」

・自治体ビジネスに取り組んでいるけど案件を勝ち取れない
・予算化の時期に、どんなアプローチをしたら良いか分からない
・競合他社に差をつけるための方法が知りたい

こんなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自治体ビジネスを有利にすすめるためには、早い段階の「仕掛け」が必要です。

その仕掛けは、本来なら自治体が作成する「予算書」づくりに関与すること。
自治体職員と一緒に予算書をつくることができれば、自社に有利、他社に対しては一歩差をつける「障壁」となるのです。

今回は予算書作成において仕掛けるべき「3つの障壁」を、それぞれ詳しく解説していきます。

――――
(目次)
■参入障壁と予算書の意味
■予算化の仕組みを理解しておこう
■「予算書づくり」で仕掛けたい3つの参入障壁
ー参加資格障壁
ー 業務内容障壁
ー評価基準障壁
■まとめ
―――――

■参入障壁と予算書の意味
具体的な解説に入る前に、まずは「参入障壁」と「予算書」について説明しましょう。

・参入障壁
予算をとった業務に他社が入り込みにくくするため、自社に有利に働く記載内容のこと。

・予算書
予算化の際に必要となる資料のこと。

予算書には、下記のような種類があります。
ー仕様書
ーお見積書

こうした予算書の中に参入障壁を盛り込むことで
・この条件、うちに当てはまらない。エントリーできないな…
・この内容って、どういう意味?さっぱり分からない!
・完全にうちに不利な配点になるじゃないか…
と他社を混乱させ、諦めさせることができます。

参加条件の壁を仕込むことで、戦いが始まる前からライバル企業を煙に巻くことができるというわけです。

■予算化の仕組みを理解しておこう
自治体ビジネスはその仕組みを理解し、求められている時期に求められている情報を提供することが大切です。

「何をいつやるか?」を常に意識しておく必要があるんですね。
そこで「3つの障壁」を仕掛けるタイミングについても、しっかり理解しておきましょう。

自治体は「4月から翌年の3月まで」の単年度で予算を区切っています。

例えば2021年の案件は、前年度である2020年度の4~5月ごろから予算取りがスタートしています。
今年の案件は、前年度から事業部門、財政部門、首長らが関わり「このくらいの予算でやりましょう」と事業化を進めてきたものなんですね。

その予算化の第一歩として、自治体が取り組むのが「予算書づくり」です。
予算書は自治体が作成するもので、前述した通り
「仕様書」
「お見積書」
といったものがありますが、実はこれらの資料づくりを民間企業が手伝えるケースがあります。

基本的には自治体担当者がつくります。
ただし信頼関係を築いておけば、事業の提案だけでなく、その先の予算書そのものの作成を任せてもらうことができるのです。

予算書づくりを任せてもらうことで、自社がお仕事を獲得しやすくなる「仕掛け」を加えることができる、というわけなんですね。
予算書づくりに携われば、 他社の知らない情報を事前に把握できます。
作成から関われば、内容をしっかり把握できますよね。

さらに大きなメリットは
「自社が仕事を受注するのに有利な状態を自らつくりだすことができること」。
有利な状態で挑めば、そのぶん自社が受注できる確率も高くなるでしょう。
自社に有利な状況を生み出す大切な仕掛けが「参入障壁」なんですね。

■「予算書づくり」で仕掛けたい3つの参入障壁
では肝心の参入障壁にはどんなものがあるのか、ひとつずつ解説していきましょう。

① 参加資格障壁
「参加資格障壁」は、参加資格にライバル企業では難しい条件を設けることです。

例えば
「本社が●●市にあること」
「●●資格保持者を担当者とすること」
「●●に関する特許を有すること」
といった自社のみ、あるいは自社を含め数社しか参加できない要件を盛り込みます。
社員の中に珍しい資格を持っている人がいれば、参加資格に盛り込んでみるのもいいでしょう。

② 業務内容障壁
「業務内容障壁」は、技術的な要素を業務内容に盛り込むことです。

例えば、
・自社ならではのノウハウや技術、情報がなければできない内容を盛り込む
・内容を読んだだけではマネできない、理解できない仕様などの項目を盛り込む
・他社が保有していない調達・流通ルートなどを盛り込む
といった方法もあります。

この障壁のメリットは「ライバル会社が正確な積算やニーズが把握できない」ということです。
エントリーはできても勝てる材料が限られるので、おのずと自社に有利な運びとなります。
独自の製品やサービス、ノウハウを持つ企業におすすめの障壁です。

③ 評価基準障壁
「評価基準障壁」は、プロポーザルにおける評価配点を自社に有利に調整するものです。

みなさんは「評価基準」をご存知でしょうか?
評価基準は、自治体側がお仕事をお願いしたい企業を選ぶためのテストのようなものです。

このテストは「評価項目」と「評価点」で構成されていますが、自社が手伝いを任されたときに自社に有利な分野の評価項目の配点を高く、弱い分野の評価項目の配点を低くすることができます。

例えば、実績の少ない企業は「実績点」の配分を低く、実績が多い配分を高く、独創的なアイデアが強みの企業は「事業の独創性」の項目を設けて配点を高くします。
こうした自社に有利な障壁をいくつも設けることで、翌年の仕事の受注率を上げることができるのです。

■まとめ
参入障壁とは、自社が案件獲得する際に、有利になるよう仕掛ける条件のことです。
参入障壁には下記のような障壁がありました。

・参加資格障壁
・業務内容障壁
・評価基準衝撃

自治体が予算書を作成するタイミングでは、こうした「仕掛け」ができることをぜひ覚えておきましょう!

「第4回「見積もりください」のベストな回答 自治体ビジネスの正しい価格戦略とは?」

自治体ビジネスでは、自治体側から「見積もりください」といわれることがありますが、
「民間企業相手とは反応が異なり、戸惑ってしまった…」という声が多く寄せられます。

・「見積もりください」といわれ、急いで渡したのに連絡がない…
・自治体に渡す見積書は、どんなふうにつくればいいんだろう?
・とにかく金額を安く設定しないと選ばれない?

こんなお悩み、みなさんもお持ちではないでしょうか?
実は自治体に提出する見積書は戦略立ててつくらないと、あとで大赤字になることも…。

今回は、よくあるお悩み事例から、自治体ビジネスにおける見積書の意味と、
正しい価格戦略のポイントをつかんでいきましょう。

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(目次)
■お悩みケース①「見積もりを渡したのに連絡がない…」
■お悩みケース②「最初から値引きしたら、結果的に大赤字の案件になっていた…」
■解決策:見積もりは「適正価格+α」で考える
■まとめ
―――――

■お悩みケース①「見積もりを渡したのに連絡がない…」
まずはA社の事例を見てみましょう。
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「D市から急いで見積書が欲しいといわれました。期限は明日までといわれ焦りましたが、
これは受注のチャンス!と思い、急いで見積書を作成してメールで送りました。
なのに、そのあと連絡がないんですよね…」
―――――

この事例、同じような経験をされたことのある方もいるかもしれません。
見積もり依頼がきたら「チャンスかも!」と、どんな企業でも嬉しくなってしまいますよね。
急いで見積書を作成し、スピード感を持って提出される企業も多いはずです。

ただ見積書を送ったものの、そのあと自治体からの連絡がなく、こちらから連絡すると
「ありがとうございました」とお礼だけいわれてしまった…ということも。

実はこれ、自治体が依頼する見積もりの目的が民間企業と異なるところにスレ違いの原因があります。

自治体が見積もりを依頼する目的はいくつかありますが、
この場合は 「次年度の予算枠取りのための価格調査」をするためと考えられます。

次年度の予算規模をつかむため、価格感を調べる段階で複数企業に見積もりを依頼する。
つまり製品が欲しいわけではなく、リサーチ目的なんですね。
だから見積もり提出後、次の商談に結びつかないわけです。

自治体の見積もり依頼は、民間企業の視点とは異なる。
この事実を知っておくことで「連絡がこないけど、どうしたんだろう?」といったモヤモヤが解消されるかもしれません。

<覚えておきたいポイント>
自治体ビジネスにおける見積書依頼の目的は、必ずしも製品が欲しくて
依頼するわけではなく、リサーチ目的のこともある。

■お悩みケース②「最初から値引きしたら、結果的に大赤字の案件になっていた…」
続いてB社の事例を見ていきましょう。
―――――
「次年度の案件をとにかく勝ち取る。そのためにかなり値引きした金額で見積書を提出しました。
翌年、案件化された仕事の内容を確認すると、見積もり時よりさらに安い金額で発注されていました。
これだと、受注できても大赤字です…」
―――――

選んでもらうために、値引きする。
どんな企業も「価格」で勝負する戦略をお持ちかと思います。
地域住民の税を効果的に活用するという使命を持つ自治体側も「コストがかからない」ことは大歓迎。
それならやはり値引きの効果は大きい!と考える企業も少なくないかもしれません。
ただ自治体ビジネスでの「見積もり提案時の値引き」は、予想以上に企業の首を絞めることになってしまうのです。

「首を締める」とは、どういうことでしょうか?
例えば、ある民間企業が50万円の商品を10個提供する見積書をつくったとしましょう。

50万円×10個=500万円

のところを今回だけ30%値引きして
(50万円×10)×0.7=350万円
の見積書をつくり、自治体に渡したとします。

仮に原価が65%なら、30%の値引きは赤字すれすれの金額です。

ここで一度、提出した見積書はどのような流れで活用されていくのか。
自治体の流れを見ていきましょう。

自治体担当者は事業部門において見積書記載の「350万円」で予算要求を行います。
けれど、350万円の金額がそのまま通ることは基本的にはありません。

金額を決定する権限を持つ財政部門は、金額の「カット」を前提に話を進めていくのです。
例えば10%カットされると、どうなるでしょう?

350万円×(1-0.1)=315万円

翌年、同案件が競争入札で出てきた場合、10%カットされた315万円になっています。
入札は価格で決まるため、勝つためには安い金額を出さなければなりません。

もう、お分かりですね。
予定価格で、すでに赤字です。

この案件に勝つためには、大赤字を覚悟しなければならないのです。
よく「自治体案件は赤字だから儲からない」といわれる所以はここにあります。

<覚えておきたいポイント>
財政部門は「金額カット」を前提に話を進めていく。

■解決策:見積もりは「適正価格+α」で考える
予算化の段階で見積書を提出するときは財政課でカットされることを見越して、
適正価格にいくらかプラスした金額で提案することが大切です。

先ほどの例でいえば、
適正価格500万円+75万(全体の15%)=575万円
のように10%カットされることを予想し、あらかじめ全体の15%の金額をプラスしておきます。

財政部門で10%カットされ、最終的に競争入札で予定価格が517.5万円となったとします。
それでも最初に15%の金額を上乗せしておけば、「勝っても赤字」状態を避けることができますよね。

適正価格+αの金額で提案すると、実際の予定価格と「このラインまで値引きできる」という金額に幅が生まれます。

金額に幅ができるとライバル会社とも勝負しやすくなり、案件を勝ち取れる可能性も高まっていくのです。

<覚えておきたいポイント>
適正価格に上乗せした金額での提案が大事。

■まとめ
今回は「見積もりください」といわれたときの、正しい価格戦略についてお伝えしました。

ポイントは
・自治体の見積もり依頼の目的は「リサーチ」であることを理解する
・財政部門は「金額カット」が前提であることを知る
・適正価格に上乗せした金額で提案する
の3つです。

せっかく見積もり提案したのに、赤字覚悟でのぞまなければならなくなった…
なんて悲しい結末をむかえないために、正しい価格戦略で自治体ビジネスに挑んでいきましょう!

過去のコラム【第1回 第2回 次年度事業の提案】はこちら

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