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第1回 第2回 次年度事業の提案 | 失敗例3パターンと改善例、正しい事業提案書のつくり方【11項目のテンプレート】

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第1回 第2回 次年度事業の提案 | 失敗例3パターンと改善例、正しい事業提案書のつくり方【11項目のテンプレート】

2021.06.29

官民連携コラム

目次

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今回から「次年度事業の提案」を大きなテーマに据えお伝えしていきます。

第1回 自治体への事業提案、失敗例3パターン!改善例もあわせて解説

地域課題やニーズをヒアリングによって把握したあとに行う事業提案は、次年度予算化事業への重要な局面です。
「提案書が、自治体に全く響いていない…」
そんなことにならないよう、失敗事例を参考に事業提案の役割をしっかり学んでおきましょう。

――――
(目次)
■自治体ビジネスで通らない事業提案3パターン
■その提案「自社中心」になっていませんか?
■事業提案書の提案タイミングをおさらい
■事業提案書の役割
■まとめ
―――――

■自治体ビジネスで通らない事業提案3パターン
自治体ビジネスにおいて「通らない事業提案」には、いくつかパターンがあります。
その一例をここから紹介していきましょう。

①タイミングが悪い
自治体の人口規模にもよりますが、事業提案書の提出は7月から9月がベストなタイミングです。
自治体ビジネスでは今期の予算はすでに決まっているため、狙うのは次年度の予算となります。

事業提案書を10月以降に提出しようとしても、その時期はすでに事業の予算化、
財政部門への要求がスタートしているため、提案書を受け取ってもらえないことがあります。

【覚えておきたいポイント!】
事業提案書は財政部門などの要求がスタートする前の7〜9月に提出しましょう。

②アピールの仕方がズレている
自社製品やサービスへの熱い気持ちは、みなさんお持ちですよね。

「うちの会社は創業から30年経っています」
「うちの商品、こんなところがすごいんです!」
「たくさんの方から好評をいただいています」

アピールしたくなるのは自然なことですが、自治体ビジネスの事業提案で
こうしたアプローチをしても、ほとんど効果はないと思っておきましょう。

なぜなら自治体は「提案内容のどんな点が地域課題の解決になるか」だけに注目しているからです。

事業提案では洗い出した地域課題や自治体ニーズの中で、
自社が貢献できる強みを掘り出し、その内容をまとめる必要があります。

またPowerPointでデザイン性の高いスタイリッシュな資料を準備しても、デザインの優劣が評価材料になることはありません。
自治体ビジネスではあくまでも「地域課題への価値提供」が重視されるのです。

【覚えておきたいポイント!】
資料のデザイン性にこだわる必要はなし!地域課題の解決にフォーカスして提案する。

③一方通行なコミュニケーション
事業提案で自治体職員さんと話をしているとき、陥りがちな罠が「自社の紹介攻め」にしてしまうことです。

もちろん、こちらから問いかけること自体は悪いことではありません。
ただ自治体ビジネスにおいて重要なことは信頼関係の構築です。
そして信頼関係は、相手の言葉に耳を傾け、相手からの反応や意見があってこそ成り立ちます。

事業提案書について話をする時間を設けてもらったときには、自社の考えや伝えたいことだけでなく
「自治体はどう考えているのか?」
に注目し、相手から言葉を引き出す時間を忘れないようにしましょう。

【覚えておきたいポイント!】
相手から考えや意見を引き出す!「聴く」姿勢を常に忘れない。

■その事業提案、「自社中心」になっていませんか?
事業提案をする際は、前述したような失敗事例に自社があてはまっていないか、
きちんと自治体の課題を解決する内容になっているかをしっかりチェックしましょう。

「この商材はどうやったら売れるだろう?」
「強みをアピールすれば、きっと選んでもらえる!」

こうした利己的発想は事業提案の失敗の元です。
自治体が求めているのは、地域課題の解決に役立つことが分かる提案です。

地域住民から預かった大切な税金を使ってまで、発注する意義があるのか?
自治体は事業提案からその意義を見極めようとしていることを忘れないようにしましょう。

■事業提案書の提案タイミングをおさらい
自治体ビジネスには確かな仕組みがあります。
仕組みを理解し、必要な対応を過不足なく行うことが自治体ビジネスでは重要です。
ここからは「事業提案」が自治体ビジネスにおいてどんなタイミングで行われるのかを、改めておさらいしておきましょう。

自治体営業には下記のような7つのフェーズが存在します。

1、地域課題・ニーズ把握
2、事業の提案
3、予算書づくり
4、予算査定対応
5、年度末対応
6、入札・プロポーザルへの対応
7、受注後のプロジェクトマネジメント

自治体ビジネスの第1フェーズである、「地域課題や自治体ニーズの把握」は年度明けの4月から6月ごろに行うのが一般的です。
そして第2フェーズで行うのが「事業の提案」。
今回のテーマですね。

事業提案のタイミングは7月から9月の間です。
この時期に課題やニーズの把握を受けて練り上げた事業提案を行います。
事業提案の目的は次年度の予算化事業について「その取り組み、やってみましょう」という内々な承諾を得ることです。

■事業提案書の役割
事業提案書についてよく寄せられるのが
「なかなか通らない」
「自治体から反応がない」
というお悩みです。

この悩み、実は事業提案書の役割をきちんと把握していないことが原因になっている可能性もあります。
事業提案書の目的は何でしょうか?
それは、何度もお伝えしていますが「地域課題の解決になる」ということです。

自治体にとって魅力的な事業提案書とは、住民ニーズに基づいた自治体課題の解決策が示されているものです。
そんな提案書をつくるためには自治体の課題やニーズを正確に把握し、
その中で自社製品やサービスが課題に対して発揮できる強みを見つける必要があります。

【自治体課題×自社製品ができること】
2つが重なる部分を見つけ、提案書に盛り込むことで自治体に響く事業提案書となるのです。
ただ悲しいことに、この目的が抜け落ちてしまっている提案書も少なくありません。
事業提案書の目的を理解した上で、事業提案書をつくりましょう。

■まとめ
・タイミングが悪い
・アピールの仕方がズレている
・一方通行なコミュニケーション

今回は事業提案の失敗例として上記の3パターンと改善策についてお伝えしました。
事業提案書の作成は、自治体が事業提案を募る目的「地域課題の解決」をしっかり理解することから始まります。
せっかく時間をかけて取り組むのであれば、自治体にささる本物の事業提案を目指していきましょう!

第2回 【11項目のテンプレート付き!】正しい事業提案書のつくり方

・首長に提案したのに、話が全く進まない…
・完璧な提案書なのに、響いていない気がする…
・「資料ください」と言われて送ったのに、進展がない…

こんなお悩みに当てはまる方は、これからお伝えするポイントをぜひ事業提案書に盛り込んでみてください。
「何から書いたらいいか分からない」という方も、11項目のテンプレート式になっているのですぐにできます。
まずは11項目の内容を考えていくことから始めてみましょう。

――――
(目次)
■「これは残念!」な事業提案書
■正しい事業提案書は「課題解決のストーリーブック」
■正しい事業提案書のつくり方【必須の11項目とは】
■まとめ
―――――

■「これは残念!」な事業提案書
自治体ビジネスを経験されたことのある方なら、一度は「事業提案書」をつくったことがあるかもしれませんね。
事業提案書はいくつかの項目に分けられますが、下記のような構成になっていることが多いようです。

1、表紙
2、自社の沿革や社歴
3、業務実績
4、製品やサービスの概要
5、受注したことのある大企業のロゴ
6、お客様の声やメディア実績
7、会社概要
8、担当者連絡先

みなさんの事業提案書は、どんな構成になっているでしょう?

実は、こうした提案書が自治体職員の心の琴線に触れることはほとんどありません。
なぜなら、「企業が言いたいこと」は入っていますが「自治体の聞きたいこと」が入っていないから。

つまり、こうした提案書は単なる「自社の自己紹介」。

自治体が求める情報、すなわち

「課題解決のために何をしてくれるのか?
その結果、地域や自治体にどんな効果が見られるのか?」

が入っていないからです。

■正しい事業提案書は「課題解決のストーリーブック」
では、自治体が求める提案書とはどのようなものなのでしょう?

それは「地域課題解決のためのストーリーブック」になっている、ということです。
自己紹介だけではなく、例えば

・その課題はなぜ生まれたのか?
・解決のためにどんな方法があるのか?
・その方法を用いてどう解決するのか?
・解決した先に、どんな未来が得られるのか?

こうした内容を順を追って紹介し、ひとつの物語のように展開していきます。

あるTV番組に出演していたAさんの人生ストーリーを見たり聞いたりして、
これまで興味が持てなかったテーマに自然と関心を抱くようになった経験はありませんか?

ストーリーには物事を分かりやすくさせ、人を引き込む力があると思います。

事業提案書をつくるときも、課題解決を軸にこうした「ストーリー性」を少し意識することで
自治体の目にとまりやすい、他社とは違う提案書に近づけることができるでしょう。

■正しい事業提案書のつくり方【必須の11項目とは】
では「地域課題解決のためのストーリーブック」となる提案書は、どうつくればいいのでしょうか?
ここからは提案書の構成とその内容を11項目にわけて具体的に紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

1、背景と目的
まず事業提案書の最初に提案の「背景と目的」を記載します。
これまで自治体へのヒアリングなどで課題やニーズを収集してきたはずです。
その課題状況を整理した上で、課題を言葉で表現し、提案の目的を述べます。

2、事業の概要
次に事業の全体像と概要を示します。細かい部分は省き、事業の大枠を伝えるイメージです。
文章だけでは把握しにくい内容もあるので、図なども利用して全体像をコンパクトにまとめます。

3、事業の詳細
2で簡単に全体像を説明したため、ここでは補足コメントを入れながら、
事業を構成するプロセスについて解説していきます。

4、事業の効果
提案する事業によって、どんな効果が期待されるのかを文章で示します。
ここでは事業を行うことで地域がどう変わるか。
数値など定量的に示すことを意識しながら、定性的な表現も加えてみると
より伝わりやすくなり、事業の必要性が高まります。

5、事業の特徴
事業の特徴を2〜3つほどに絞り、示します。
ポイントは「自社でなければならない理由」を挙げること。
自治体ビジネスではほとんどの場合、競合他社が存在します。
彼らもまた自治体の課題解決やニーズを満たす提案を仕掛けてくるでしょう。

「どこに頼んでも同じ」と自治体側に感じさせないために、なぜ他社ではなく自社なのか、
つまり「自社でなければならない理由」を示すことが欠かせません。
他社を制する事業提案書にするために、最も重要な部分と捉えておいてください。

6、事業スケジュール
事業の全体スケジュールを示します。
自治体は全体的に遂行可能なスケジュールが組まれているかをチェックします。
また、議会や選挙が予定されている時期には忙しくなることを考慮して
余裕を持って工程を組むなど、自治体側の事情をきちんと理解しているかも判断されます。
各工期を明記し、無理のないスケジュールを提示しましょう。

7、事業実施体制
自治体側から見ると「安定的な事業の運営管理をしてもらえるかどうか?」も気になるポイントのひとつです。
そこで事業を進めていく自社の体制を明記し、運営管理が安定的に継続できることを示します。
コンソーシアム(共同事業)を組む場合は、それぞれの役割分担を対等な形で記載しましょう。

8、業務実績
・年度
・発注期間
・案件名
・後期
・契約金額
・技術的特徴

などを盛り込み、類似業務の実績をまとめて示します。
特に「技術的特徴」はとても重要。
技術的特徴とはテクニカルなことを書くという意味ではありません。
「自社の技術でその案件にどんな価値や成果をもたらしたのか」を指します。
選ぶ側は、多数の自治体との取引実績があるかを見たいのではなく、
その仕事で地域にどんな成果をもたらしたのかを知りたいのです。
各案件でどんな成果をあげたのか、可能な範囲で書くと良いでしょう。

9、見積書
自治体が見積書でチェックするのは
「人件費の単価がはっきり示されているか?」
「明細のバランスが不自然になっていないか?」
などです。
見積金額は税込みで記載し、明細書を必ず盛り込むようにしましょう。

10、終わりに
事業提案書への思いや情熱などを記載します。
事業提案書を作成するまでに自治体の課題やニーズをたくさんヒアリングし、検討を重ねてきたと思います。
その上でみなさんが感じたこと、力になりたいと思ったこと、今後にかける意気込みなどを示しましょう。

11、会社概要、担当者連絡先
事業提案書の最後に、会社概要や担当者の連絡先を明記します。

全部で11の項目が盛り込まれた事業提案書。
これが「自治体が喜ぶ正しい事業提案書」の内容となります。

「何をどうしたらいいか分からない」という方は、まずこの構成にそって内容を考えていくことから始めてみましょう。

■まとめ
今回は事業提案書に盛り込む内容を、11の項目に分けてご紹介しました。
全体を通して意識したいことは、「地域課題解決のためのストーリーブック」になっているかどうかです。
各項目で確認すべきポイントをおさえながら、自治体に響く事業提案書をつくっていきましょう!

過去のコラム【自治体ニーズ・地域課題の把握】はこちら
過去のコラム【自治体ニーズ・地域課題の把握 「行政資料の読み解き方」】はこちら

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