最低制限価格制度とは何か?目的から具体例まで徹底解説

自治体ビジネスに取り組む上で、
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はじめに
最低制限価格制度とあるけれど、これはどういう制度なのでしょう。自治体ビジネス特有の用語で、ちょっとわかりにくいなと感じる方が多いと思います。
この記事では、
- 最低制限価格制度はなぜ導入されたのか?
- その目的は?
- 最低制限価格制度を使うと、落札基準はどうなるのか?
- 他の制度とはどう違うのか?
など、基本からしっかり徹底解説いたします。
最低制限価格制度とは
最低制限価格制度とは、公共工事等の請負契約の入札において、粗悪な工事や業務を防ぐために、あらかじめ最低制限価格を設ける制度です。
公共工事を中心にほとんどの自治体で導入されており、最低制限価格が設定された入札では、最低価格であっても最低制限価格を下回る場合には失格となります。
最低制限価格制度の目的
それでは、「最低制限価格制度」は何のために作られた制度でしょうか?
答えは「ダンピング対策のため」です。
ダンピングとはコストや利益を無視した不当に安い値段で取引することです。
不当に安い値段で取引がされると、次のような問題が起きてしまいます。
【ダンピングの問題点】
工事や請負業務の手抜きが起こる。 |
不当に安い価格で受注したことにより、下請業者にしわ寄せがくる。 |
その官公庁ビジネスに係る、労働者の労働条件が悪化する。 |
工事や製造における安全対策が行われなくなる。 |
他の会社や事業者がその事業を続けることができなくなる。 |
地域経済に悪影響が出てくる。 |
地方自治体は、日本国内の産業やその地域の産業を活性化する社会的な責任があります。
いくら税金の節約になるからと言っても、日本国内やその地域の産業を潰してしまうことは許されません。
したがって、「最低制限価格制度」などの特別な制度を作りダンピングを規制しています。
また、落札し契約をしたのに、安価すぎて目的達成が不可能な取引を避けるための目的もあります。
最低制限価格制度の入札例
最低制限価格制度は、地方自治法施行令において以下のように定められています。
地方自治法施行令167条の10 | 2 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により工事又は製造その他についての請負の契約を締結しようとする場合において、当該契約の内容に適合した履行を確保するため特に必要があると認めるときは、あらかじめ最低制限価格を設けて、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とすることができる。 |
ここにある予定価格とは、入札が行われる案件において自治体があらかじめ設定する契約金額の上限です。
入札金額が予定価格を上回る場合は、最低価格であっても契約の対象とはなりません。
また、予定価格は事前に公表されないケースがほとんどです。
入札に参加する際には、予定価格の見極めが重要なポイントとなります。
適用対象とする工事や業務、最低制限価格の決定方法等は各自治体の判断により設定されます。
各地方自治体で実施要領が作成されていますので、是非ご確認ください。
(具体例:千葉県建設工事等に係る最低制限価格制度実施要領)
一般競争入札に勝つためのポイントについては、こちらもご一読ください。
一般競争入札とは?わかりやすく徹底解説|自治体ビジネスドットコム
それでは、最低制限価格制度ではどのように落札者が決定されるか具体例をあげて解説します。
次の図をご覧ください。
ある地方自治体におけるある競争入札において
予定価格が1,000万円
最低制限価格が800万円
と決まりました。ここで、6つの入札参加事業者ABCDEFが、入札に参加し、金額を提示しました。
予定価格である1,000万円を超えてしまった入札参加事業者は
F 1,050万円です。
最低制限価格である800万円を下回る入札参加事業者はABCと3つあります。
これらは、地方自治体が想定していた金額よりも安い金額を入札で提示した事業者です。
A 600万円
B 730万円
C 780万円
です。
これらの3つの事業者は「失格」となります。
さて、残りはDとEです。
Dは、820万円を提示しました。
Eは、950万円を提示しました。
ここで金額を比較して、より安い820万円を提示したDが落札者に決定します。
※地方自治体や入札案件によって計算基準が違う可能性がありますので、実際に取り組む際は入札の案内や要項をしっかり熟読してください。
最低制限価格制度と低入札価格調査制度の違い
低入札価格調査制度とは
競争入札におけるダンピング対策のために作られた制度に「低入札価格調査制度」があります。
最低制限価格制度と同様に、入札前にあらかじめ低入札価格調査基準を設ける制度です。
最低制限価格制度と低入札価格調査制度との違いはどのような点でしょうか?
大きく異なるのは、落札者を決定する方法です。
最低制限価格制度では制限価格を下回ったら自動的に失格になるのに対し、低入札価格調査制度では調査基準を下回っても自動的な失格にはならず、まずは価格調査が入ります。
調査の結果、入札額の根拠が明らかで仕様書の履行に問題ないと判断された場合には落札者となります。
最低制限価格制度 | 最低制限価格を下回った場合、自動的に失格となります。
最低制限価格を上回る事業者の中で最も価格の低い事業者が落札者となります。 |
低入札価格調査制度 | 基準値を下回った場合、自動的に失格にはなりません。
価格の低い事業者から順番に基準価格を下回った理由を調査し、契約相手として適当と判断された場合に落札者となります。 |
低入札価格調査制度ではどのように落札者が決定されるのか具体例をあげて解説します。
ある地方自治体におけるある競争入札について、
予定価格が1,000万円
低入札価格調査基準価格が850万円
と決まりました。
入札に参加した事業者は、ABCDEFの6つの事業者です。
予定価格1,000万円を上回る事業者は、
F 1,050万円です。
低入札価格調査基準価格を下回る事業者はABCDの4つです。
A 600万円
B 730万円
C 780万円
D 820万円
これらは、価格の低い事業者から順番に基準価格を下回った理由の調査が行われます。
このように、基準価格を下回った事業者への対応が、最低制限価格制度と違います。
【基準価格を下回った事業者への対応の違い】
最低制限価格制度 | 基準値を下回る事業者を不適格とする。 |
低入札価格調査制度 | 基準値を下回る事業者の理由を調査した上で適格か不適格化を判断する。
最も安いAからB、C、Dと入札内容を審査します。 Aを審査しましたが不適格でした。 したがって、落札者をDとします。 |
※地方自治体や入札案件によって計算基準が違う可能性がありますので、実際に取り組む際は入札の案内や要項をしっかり熟読してください。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
最低制限価格制度と書いてあると、一見するとわかりにくいかもしれません。
しかし、この制度は公共工事を中心に多くの地方自治体で取り入れられ、近年では業務委託案件でも制度を導入する自治体が増えてきています。
制度の意味や目的を確認し、自治体ビジネスへの参入に活かしてください。
今回ご紹介した最低制限価格制度のように、自治体ビジネスには民間ビジネスとは異なる制度や仕組みが多く存在しています。
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