目次
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今回から「見積書づくり」を大きなテーマに据えお伝えしていきます。
第1回 自治体ビジネスで提案が通りやすい見積書にある「3つの共通点」
みなさんは「提案が通りやすい見積書」とは、どんなものだと思いますか?
そもそも、そんなものあるの?と思う方もいるかもしれません。
自治体ビジネスでは「提案の通りやすい見積書」というものが、きちんと存在します。
そして、採用される見積書には3つの共通点があります。
今回は提案の通りやすい見積書、3つの共通点について解説していきましょう。
――――
(目次)
■結論!通りやすい見積書の3つの共通点はこれ!
ーー共通点①自治体の「フォーマット設計」にそっている
ーー共通点②上乗せ分を人件費に積み上げている
ーー共通点③人件費単価の根拠を説明できる
■まとめ
―――――
■結論!通りやすい見積書の3つの共通点はこれ!
まず結論から入りましょう。
提案の通りやすい見積書には、下記の3つの共通点があります。
ーー①自治体の「フォーマット設計」にそっている
ーー②上乗せ分を人件費に積み上げている
ーー③人件費単価の根拠を説明できる
フォーマット設計……
人件費単価の根拠……
分かるようで、分からないワードが並んでいます。
なぜ上記のポイントをおさえると自治体への提案が通りやすくなるのか、次からひとつずつ解説していきます。
■共通点① 自治体の「フォーマット設計」にそっている
見積書を作成するとき、みなさんはどんなフォーマットを使っていますか?
これまで取引してきた民間企業との見積書のひな形を、そのまま応用している方も多いかもしれません。
自治体ビジネスで提案の通りやすい見積書をつくるポイントは
「自治体のフォーマット設計に合わせた見積書をつくる」 ことです。
フォーマットに合わせた見積書をつくることで提案が通りやすくなる理由は
「内部で書類を回してもらいやすくなるから」です。
どういうことか、説明していきましょう。
実は自治体職員さんは民間企業が提出した見積書を自治体内部で
閲覧・精査するために、自治体専用のフォーマット設計書を作成しています。
つまり、民間企業の見積書を見ながら自治体内部で回すための資料を別に作成しているんですね。
このとき民間企業がつくった見積項目がフォーマットの内容と一致しなかったり、
内容が分かりにくかったりすると、資料作成にそれだけ手間がかかります。
手間がかかると、自社の案件はそれだけ話が進みにくくなります。
対して、フォーマットの内容にそった見積書をあらかじめつくっておけば、
そのままコピーして自治体フォーマットの資料に貼りつけることが可能。
自治体職員さんの手間はほとんどかかりません。
作成の手間がなくなれば、確認が必要な人や部署へどんどん回してもらいやすくなりますよね。
ただここで
・自治体のフォーマットはどこで手に入る?
・全国、どの自治体でもフォーマットは同じ?
といった疑問も出てきますよね。
実は見積書のフォーマットは各自治体で異なります。
そこで、見積もり依頼があった時点で、自治体職員さんに対し
「見積もりに適したフォーマットがあれば、共有していただけますか?」と頼んでみましょう。
100%ではありませんが、自治体によっては共有してもらえることもあります。
自治体内部の仕組みを知って担当職員さんの作業を減らし、書類が庁内で動きやすい環境を自らつくっていきましょう。
■共通点② 上乗せ分を人件費に積み上げて計上している
見積書は、民間企業が提出した金額そのままの案件として上がってくるわけではありません。
提出した見積書は自治体内部で精査され、財政部門で10%程度カットされた金額で案件化します。
そのためギリギリの金額で見積額を設定してしまうと、赤字案件となることが確定してしまうのです。
そんな事態を防ぐため、見積もり書にはあらかじめ「上乗せ」した金額を記載する必要があります。
この上乗せ分は「人件費」として計上しておきましょう。
自治体は基本的に民間企業の見積もりには「人件費が必ず入っている」と考えています。
上乗せ分を人件費として計上することで提案が通りやすくなる理由は、
「内容の追加」を自治体から依頼されたとき、人件費の部分ですぐに調整・交渉ができるからです。
これは、どういうことでしょう?
人件費を計上していないと、もし自治体側から内容の変更依頼があった場合すぐに対応できません。
追加業務をどの項目として計上すればいいのか迷い、結果的に「そのままの金額でいいか」と
考えてしまうと、企業の利益は少なくなってしまいます。
自治体は金額がおさえられるとうれしいですが、最終的に地域の税収が少なくなることも分かっています。
その点、人件費を計上しておけば軽い変更依頼にも柔軟に対応できます。
「この企業はきちんと利益を出しながら、軽微な変更にもすぐに対応してくれる」
人件費を計上しておくことで、自治体に「心強いパートナー」としての印象を強めることができます。
■共通点③ 人件費単価の根拠を説明できる
ここで「人件費の単価はどうやって決めればいい?」と疑問に感じた方もいるかもしれません。
結論をいうと、自社で決めてOKです!
ただ根拠となる「単価表」を必ずつくっておきましょう。
それが、自治体から何か問い合わせがあったときの根拠となります。
この単価表を自社でつくる際に参考となる資料が「設計業務委託等技術者単価」(参照)国土交通省です。
上記の資料は国土交通省が毎年調査しているもので、インターネットから入手可能です。
金額を全く同じにする必要はないため、参考価格として見ておきましょう。
委託業務は、ほぼこの考え方で応用できます。
ちなみに、作成した単価表を自治体に提出する必要はありません。
ではどんなときに必要かといえば、それは自治体から
「この人件費単価は、どのように決められていますか?」と質問されたときです。
その際に「単価表は、国土交通省の設計業務委託等技術者単価を参考に作成しております」
と必要に応じて伝れば、自治体側は納得してくれるでしょう。
根拠となる資料があれば、社内で誰が見積もりを作成しても基本的には同じ内容のものを作成することが可能。
自社の作業を効率化できるところも、メリットといえますね。
■まとめ
提案が通りやすい見積書の共通点は
・自治体の「設計書構想構成」にそっている
・上乗せ分を人件費に積み上げて計上している
・人件費単価の根拠を説明できる
ことです。
3つのポイントをおさえれば、自治体ビジネスで提案が通りやすくなるでしょう。
見積書作成の際には、ぜひ意識してみてくださいね。
第2回 自治体ビジネス!正しく見積書を設計したときの「3大効果」とは?
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(目次)
■提案の通りやすい見積書の条件とは?(前回のメルマガをおさらい)
■正しい見積書を設計することで得られる、3つの効果
①利益が確保できる
②自治体からの要求に対して交渉ができる
③自治体からパートナーとして信頼される
■まとめ
―――――
■提案の通りやすい提案書の条件とは?(前回のおさらい)
前回、提案が通りやすい見積書の共通点として下記の3つをご紹介いたしました。
―――自治体フォーマットにそっている
―――上乗せ分を人件費に積み上げて計上している
―――人件費単価の根拠を説明できる
では、こうしたポイントをおさえた見積書を設計しておくと、私たち民間企業にとってどのような効果があるのでしょうか?
■正しい見積書を設計することで得られる3つの効果
正しい見積書を作成する最大の効果は「案件獲得のための調整がしやすくなる」ということです。
では「調整がしやすい」とは具体的にどういうことなのか、大きく3つに分けて解説していきましょう。
① 利益が確保できる
まず1つ目は「自社の利益が確保できる」ということです。
正しく見積書を設計したとき、あらかじめ妥当な金額を上乗せすることが必要だとお伝えしてきました。
そうすると、自治体の財政部門で案件額がいくらかカットされても余裕が持てます。
想定範囲内の予算感で案件化されるため、満を持して他社との勝負に乗り出せるのです。
② 自治体からの要求に対して交渉できる
2つ目の効果は「自治体の要求に交渉できる」ことです。
例えば、500万円の案件の見積書を自治体に提出したとしましょう。
見積内容として「2回の説明会」を設定していましたが「3回行ってほしい」という申し出がありました。
こんなとき、みなさんはどうしますか?
正しく見積書を設計していれば、人件費を細かく計上しているはずです。
見積もりの予算内におさめたいなら、人件費の部分を調整しておさえることが可能。
金額を上げる場合も、1回あたりの説明会にかかる人件費をプラスして伝えることができます。
けれど、人件費を計上せずに見積書を提出していた場合、民間企業のみなさんは
「説明会1回分の金額っていくらだろう……。面倒だから、そのままの見積もり金額でいいか」
と受け入れてしまうことになるかもしれません。
人件費を計上していないと「1回増やして」といわれたときに
「分かりました」といわざるを得ない状況になることもあるのです。
自治体は少ない税で最大の効果を上げるのがミッションです。
そのため、彼らはダメもとで私たちにお願いしています。
ダメもとのお願いに「承知しました」とイエスマンになるのか、交渉に持ち込むのかは、
企業としての大きな分かれ目です。
自治体にとってうれしいのは頼みごとを聞いてくれる企業ですが、
「赤字でもお願いしたい」とは自治体側も思っていません。
なぜなら地域全体の税収が減ってしまうからです。
自治体は「しっかりと交渉にのぞむ」企業を、パートナーとして心強く、頼もしく思っています。
利益を出しながら、いかに要求に応えようとするか。その姿勢が自治体ビジネスでは評価されるのです。
③ 自治体からパートナーとして信頼される
「予算が厳しくて……」と自治体にいわれたとき、みなさんはどうしますか?
ここで「分かりました、30%オフします!」と応えてしまうと、
価格設定に根拠がないとみなされてしまう恐れがあります。
予算が厳しいといわれたときは「人件費単価の根拠を説明できる状態」にしておきましょう。
自社内で独自の単価表をつくり、その単価表にそって人件費を決定し見積書に計上しておきます。
そうすることで「どの部分をどれくらい調整すれば、予算内におさまるのか」を具体的に検討することができます。
曖昧ではなく、根拠があって見積価格を設定している。そう自治体に理解してもらうことで「長く付き合いたい企業」のひとつになっていくのです。
■まとめ
正しく見積書を設計すると
①利益が確保できる
②自治体からの要求に対して交渉ができる
③自治体からパートナーとして信頼される
のようなメリットがあります。
パートナーとして信頼されるためにも、見積書は正しく設計することが必要。
その見積書に基づき、自治体と的確にコミュニケーションをとっていきましょう。
第3回 見積書に「人件費」を上乗せするときの計上の仕方【事例で解説】
ひと口に「人件費を計上する」といっても、
どのくらいの金額を、どのように計上すればいいのか、迷ってしまう人もいますよね。
今回は、人件費の計上の仕方を事例をもとに詳しく解説していきます。
自社の場合はどのように計上するのか?想像しながら一緒に考えていきましょう!
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(目次)
■見積書に「人件費」を計上するワケとは?
■事例を参考に人件費を考えていこう!
■人件費計上の仕方①作業者を振り分け、単価を設定する
■人件費計上の仕方②各作業ごとの作業者・人数・日数・回数を設定する
■注意!単価表は自治体には提出しません!
■まとめ
―――――
■見積書に「人件費」を計上するワケとは?
前提として、見積書には商品やサービス代金以外に「人件費」を計上する必要があります。
なぜでしょうか?
それは民間企業が提出した見積もり金額のまま案件化されることは、ほとんどないからです。
自治体ビジネスにおいて、見積もり金額からある程度削減された金額が、案件として表に出されます。
見積もり金額を黒字が出るギリギリの金額に設定していた場合、赤字覚悟で戦わなければならなくなりますよね。
そこであらかじめ妥当な金額を「人件費」として見積書に上乗せしておくことで、自社の利益が確保できるのです。
また、見積もりを提出したあとに自治体から追加相談や要求があった場合も
「人件費」の項目を調整することで、対応しやすくなります。
ではこの人件費、どのように設定すればいいのでしょうか?
■事例を参考に人件費を考えていこう!
ここからは、事例を参考に考えていきます。
【事例】
A市に50万円の商品を10個納品するための見積書を作成することになったB社。
上乗せ分を「人件費」の名目で計上しようと考えています。
どのように計算して上乗せすれば良いのでしょう?
人件費を考えるときはまず、作業者を振り分けること。
そして各業務に関わるのは、どんな作業者なのか?
人数は?日数は?回数は?を検討していく必要があります。
■人件費計上の仕方 ①作業者を振り分け、単価を設定する
各業務には担当者、現場責任者、技術者など、さまざまな人が関わることになります。
そのため人件費を見積書に計上する場合には、業務に関わる作業者ごとの単価を事前に決めておく必要があります。
人件費の単価は自社で決めて問題ありませんが、0の状態から考えるのはなかなか難しいかもしれません。
悩んだときは、国土交通省が毎年調査している「設計業務委託等技術者単価」を参考にしてみましょう。
金額を全く同じにする必要はありません。参考価格として目安にしてみてください。
上記を参考にB社が作成した、作業者ごとの単価が下記です。
・担当者 40,000円(1日7時間)
・技術者 50,000円(1日7時間)
・責任者 60,000円(1日7時間)
(人件費単価は1日7時間相当の人件費のこと)
単価はどんな人でも一律ではなく、作業者レベルごとに決めていきましょう。
■人件費計上の仕方 ②各作業ごとの作業者・人数・日数・回数を設定する
作業者ごとの単価が明確になったら、今度は各業務に必要な作業者、日数、回数などをあてはめていきます。
例えば商品を納品するだけの仕事でも、事前の打ち合わせや搬入の際のセットアップ、
使い方の説明など、商品によってはさまざまな付随作業が発生しますよね。
そうした作業ごとに、誰がどのくらいの時間稼働することになるのかをまとめていきます。
・2回の打ち合わせ
(責任者+担当者)×0.5日×2回=10万円
・搬入&セットアップ
(技術者+担当者)×0.5日×10回=45万円
・職員への説明会
(技術者+担当者)×0.5日×2回=9万円
作業の明細を細かく見積書に記載することで、進行の流れを理解することが可能。
結果として、自治体の信頼を得ることができるのもメリットです。
■注意!単価表は自治体には提出しません!
人件費の単価表を事前に作成しておくと、価格設定に根拠を持たせることができたり、
自治体からの相談や依頼に柔軟に対応できたりもしますが、一つ注意してほしいことがあります。
それは「単価表をそのまま自治体に提出しない」ということです。
その理由は他社に人件費単価の情報が漏れる危険性があり、自社が不利となる状況を生んでしまう可能性があるからです。単価表そのものは資料として用意しておき、自治体から「見せてもらえますか?」と求められたら場合のみ応じるようにしましょう。
■まとめ
今回は、見積書で人件費を上乗せする場合の計上方法をお伝えしました。
人件費は
① 作業者を振り分け、それぞれの単価を決定する
② 各作業ごとの作業者・人数・日数・回数を設定し、計算する
といった手順で明確にしていきましょう。
作業者ごとの単価も表にまとめることで、以降の見積作成がスムーズに進むでしょう。
第4回 Win-Winの見積もり交渉術!要望に応じながら利益も獲得するには?
交渉って、難しい……
そんなイメージを持たれる方も、多いのではないでしょうか。
相手の要求をそのまま受け入れるのではなく、自社の利益を守りながら互いにメリットを得られる交渉が理想ですよね。
今回は互いにWin-Winの「見積もり交渉」を行うために、必要なことをお話していきましょう。
――――
(目次)
■ 結論!Win-Winの「見積もり交渉」に必要なものとは
■【事例】「説明会を増やしてほしい」自治体からのお願い
■ 明細調整で交渉をスムーズにすすめる方法① 作業者ごとの人件費単価を設定する
■ 明細調整で交渉をスムーズにすすめる方法② 明細をつくる
■ 明細調整で交渉をスムーズにすすめる方法③ 追加作業分を引き算する
■ まとめ
―――――
■結論!Win-Winの「見積もり交渉」に必要なものとは
まずは結論からいきましょう。
Win-Winの見積もり交渉に必要なこと、それは見積書内の人件費に「明細」を記載することです。
「え……?」と感じた方もいるかもしれません。
交渉は見積書を提出したあとに行われることが多いですよね。
しかし、交渉をスムーズに行うためには、実は提出した「見積書の中身」が重要なんです。
勝負は見積書をつくる段階から始まっているんですね。
では「見積書における、人件費の明細」とは何でしょうか?
簡単にいうと、誰が(どんな作業者が)、どのくらいの人数、
どのくらいの時間をかけて、何回作業をするのかが分かるものです。
この「明細」が盛り込まれているか否か。
それが「Win-Winの見積もり交渉」を行う秘訣です。
次から具体的な事例を想定し、考えていきましょう。
■【事例】「説明会を増やしてほしい」自治体からのお願い
「職員への説明会を1回増やしてくれませんか?」
自治体に見積書を提出後、こんなお願いをされることがあります。
この場合、自治体には「見積もり金額はそのままで、おまけで説明会を1回増やしてほしい」
という思惑があります。
このお願い、みなさんならどう対応しますか?
案件を勝ち取るために妥協し、無理をしてしまう企業も少なくないのではないでしょうか。
そこで「仕方ない」とサービスしてしまえば、その分自社の利益は目減りしてしまいます。
それでは、ビジネスとして成り立たなくなっていきますよね。
自治体ビジネスの見積もり交渉では、そのように妥協する必要はまったくありません。
こうしたお願いや相談は、見積書の人件費を調整することで金額内におさめることが可能となります。
そこで役立つのが、人件費の細かい内容を記載した「明細」部分なのです。
■ 明細調整で交渉をスムーズにすすめる方法① 作業者ごとの人件費単価を設定する
Win-Winの見積もり交渉をするには、前提として明細付きの人件費を見積書に記載しておく必要があります。
「でも、人件費ってどうやって計上すればいい?」という人もいますよね。
まずは人件費の計上の仕方について、前回のおさらいをしておきましょう。
社内には担当者、責任者、技術者など異なるレベルの作業者が存在します。
そこで、各作業者ごとに人件費単価を下記のようにまとめておきましょう。
・担当者 40,000円(1日7時間)
・責任者 50,000円(1日7時間)
・技術者A 50,000円(1日7時間)
・技術者B 40,000円(1日7時間)
・技術者C 35,000円(1日7時間)
・技術者D 20,000円(1日7時間)
金額は自社で自由に決めて問題ありません。
まずはこのように、作業者ごとの人件費単価を設定してみてください。
■ 明細調整で交渉をスムーズにすすめる方法② 明細をつくる
商品を納品するだけの仕事でも、業務は単純なものではありません。
事前の打ち合わせや搬入の際のセットアップ、使い方の説明など商品によってもさまざまな付随作業が発生します。
そうした不随作業の内容を人件費単価表と照らし合わせ、下記のような人件費の明細をつくっていきます。
・2回の打ち合わせ
(責任者+担当者)×0.5日×2回=9万円
・搬入・セットアップ
(技術者B+担当者)×0.5日×10回=40万円
・職員への説明会
(技術者C+担当者)×0.5日×2回=7.5万円
こうした内容を人件費の「明細」として見積書に記載しておきましょう。
この明細が後々、見積もり交渉をする際に大いに役立ちます。
■ 明細調整で交渉をスムーズにすすめる方法③ 追加作業分を引き算する
ここで、事例で挙げた自治体からのお願いを思い出してみましょう。
「職員への説明会を1回増やしてくれませんか?」
要望に応え、打ち合わせ1回を追加することにします。
打ち合わせを1回追加すると本来45,000円の費用が別途発生しますが、
追加費用を自治体に請求せず、自社の売り上げを守るためにはどうしたらいいのでしょう?
するべきことは「45,000円を浮かせること」です。
例えばもともと設定していた「2回の打ち合わせ」に焦点をあてた、こんな交渉ができます。
「責任者と担当者との打ち合わせは2回を予定していました。
これを1回に減らせば、職員さんへの説明会を1回追加できます。
打ち合わせは1回減りますが、不安な部分はメールなどでやりとりしましょう」
1回の打ち合わせを減らすと、45,000円の費用が浮くことになります。
ここに1回の説明会を追加すれば、結果的に自社が損をすることはありませんよね。
明細があると「どこを調整できそうか」をすぐに検討できます。明細をもとに作業内容を調整することで、自社の利益を守りながら自治体からの要望にも応えることができるのです。
「(売り上げ減を覚悟で)できます」あるいは
「できません」の二択ではなく、「このように調整すれば可能です」と応じることで、
話ができるパートナー&前向きな提案をしてくれる企業という印象を自治体に与えることもできるのです。
■まとめ
Win-Winの見積もり交渉のコツは、あらかじめ見積書内の「人件費」に明細を盛り込んでおくことです。
明細を盛り込むことで、あとからの金額調整がしやすくなり自治体からの細かいお願いや相談に応じやすくなります。「勝負は、見積書そのものをつくる作業から始まっていること」を覚えておきましょう。