オープンカウンターとは?特徴や概要について解説

これから自治体とのビジネスをしたいと考えている方ならば、「オープンカウンター」という言葉を見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。
オープンカウンターは自治体の調達方式の一種で、手続きが簡易で金額も少額のため中小企業でも参入しやすい方法です。
ただ聞き覚えはあっても詳しい内容はわからない方が大多数ではないでしょうか。
そこで今回の記事では、自治体ビジネスへの参入を考えている方やオープンカウンターについて詳しく知りたい方に向けて、
- オープンカウンターの意味と概要
- オープンカウンターの一般的手順
- オープンカウンターのメリットデメリット
などについて詳しく解説します。
目次
- 1 オープンカウンターとは?
- 2 オープンカウンターの一般的手順
- 3 オープンカウンターの特徴3つ
- 4 オープンカウンターのメリットは?官民それぞれ3つ
- 4.1 民側のメリット①市場の可視化による販路拡大が可能に
- 4.2 民側のメリット②新規参入が可能である
- 4.3 民側のメリット③地域経済の刺激になる
- 4.4 官側のメリット①公平性・透明性を担保できる
- 4.5 官側のメリット②業者選定と見積もり依頼の手間がない
- 4.6 官側のメリット③地域の中小企業育成につながる
- 4.7 オープンカウンターのデメリットは?
- 4.8 民側のデメリット①見積提出期限が短く案件を逃しやすい
- 4.9 民側のデメリット②不特定多数の企業との価格競争になる
- 4.10 民側のデメリット③地域要件が設定されている場合がある
- 4.11 官側のデメリット①参加者がいないケースが考えられる
- 4.12 官側のデメリット②周知の手続きが必要になる
- 4.13 官側のデメリット③新規参入者の履行確実性が判断できない
- 5 オープンカウンターの魅力はハードルの低さ
オープンカウンターとは?
オープンカウンターとは、自治体による発注先の選定方式の一種です。
公募型見積もり合わせと呼ばれることもあります。
基準額以下の物品を調達したり、印刷物を発注したりする際、特定の事業者と見積もり合わせを行うのではなく、公募により参加者を募り、契約者を決定するシステムを指します。
公募で集まった見積書の中で、予定価格以内で最低金額を提出した事業者と契約します。
実際に入札箱がカウンターの上に置かれたことからオープンカウンターと名前が付きました。
オープンカウンターは少額随契の発展的な形
オープンカウンターは少額随契の発展的な形です。
少額随契とは、法令で決められた金額以下の契約において行われる随意契約です。
複数の事業者から見積書の提出を受け、入札手続きを省略します。
オープンカウンター方式は、発注者が見積もりの相手方を特定せず公募を行うことで、少額随契をより公平で透明性のあるものとするように配慮されています。
その性質から、簡易型の一般競争入札と呼ばれることもあります。
随意契約や一般競争入札については、こちらの解説もご一読ください。
自治体営業における究極のゴール「随意契約」とは?|自治体ビジネスドットコム
一般競争入札とは?わかりやすく徹底解説|自治体ビジネスドットコム
オープンカウンターが少額随契と異なる点
オープンカウンターが従来の少額随契と異なるのは、競争性があるため公平で透明性があるという点です。
そもそも少額随契が選択されるのは、契約事務を簡素化するためです。
競争に付してもよいのですが、事務にかかる手間とコストに見合うほどの金額ではないという観点で選択されています。
オープンカウンター方式も契約にかかる事務手続きはそこまで増えません。手続きを省略しつつ、公平性を担保できる点が優れているため、多くの自治体でオープンカウンター方式が取り入れられています。
オープンカウンターの一般的手順
オープンカウンター方式の一般的な手順を紹介します。
ただし、自治体により手順や期間は異なるので、必ず事前に確認するようにしてください。
一般的な手順は以下の通りです。
① 情報の公表 自治体のホームページなどで、公募案件に関する仕様書などの情報が公表されます。 仕様書の内容について質問の受付を行う案件もあります。見積提出期限は、長くても公表から10日程度と短いことが多いため注意が必要です。 ②見積書の提出 ③ 契約候補者の決定 |
オープンカウンターの特徴3つ
手続きを省略しつつも公平性を担保できる点がオープンカウンター方式の特徴ですが、それ以外にも3つの特徴があります。
特徴①予定価格が低い傾向
オープンカウンターが選択される案件は、予定価格が低い傾向にあります。
予定価格は様々ですが、100万円前後を上限としている自治体が多いようです。
もともと少額随契の発展的形であるという理由もありまですが、中小企業の積極的活用を促すためという側面もあります。
特徴②見積もりの提出期限が短い
オープンカウンターでは見積もりの提出期限が短いことが特徴です。
通常の一般競争入札であれば、最低公告期間は10日とされ、通常は2~3週間公告が掲載されます。
オープンカウンターの見積提出期限では公表から長くて10日程度と短い傾向にあるので注意しましょう。
自治体や案件ごとに異なるので、事前によく確認してください。
特徴③対象が限られている
オープンカウンターの対象案件はあらかじめ限られていて、「物品の購入」か「印刷物の発注」を対象としている自治体が多い傾向にあります。
役務を対象とする自治体もありますが、特定の技術や設備等を必要としない簡易なものであることがほとんどです。
オープンカウンターの参加資格とは?
地方自治体のオープンカウンターでは何らかの参加資格が求められるケースがあります。
中でも、その自治体に事業所があることが条件となる地域要件を設けていることが多いです。
つまり地方地元に拠点を置く企業に有利な制度ということです。
オープンカウンターのメリットは?官民それぞれ3つ
オープンカウンターには、官民どちらの側にもメリットがあります。
それぞれ3つずつ解説します。
民側のメリット①市場の可視化による販路拡大が可能に
民側のメリットとして、市場の可視化による販路拡大が可能になる点があげられます。
従来の少額随契では、行政の側から特定の事業者に見積もりを依頼していたため、市場は開かれておらず知名度の低い中小企業には販路拡大が叶わない状況でした。
オープンカウンターではホームページや掲示板で公募案件が公開され、参加資格のある企業ならば誰でも参加可能になります。
民側とすれば公平な観点で取引拡大の可能性が増えるのですから、大きなメリットといえるでしょう。
自治体ビジネスの実績作りにもおすすめです。
民側のメリット②新規参入が可能である
オープンカウンターならば企業側の新規参入が容易です。
従来の少額随契では実績のない企業が選定されることはほとんどなかったため、新規参入はほとんどできませんでした。
オープンカウンターならば参加資格さえ備えていれば新規参入は比較的容易です。
民側のメリット③地域経済の刺激になる
オープンカウンターでは、多くの場合地元企業に有利な条件で公募を行います。
そのため地域経済が刺激され、地元企業の活性化につながります。
また、行政との取引実績から地元企業との取引増加や印象アップといったメリットも考えられます。
官側のメリット①公平性・透明性を担保できる
官側としては、公平性と透明性を担保できるのが大きなメリットといえます。
簡易的とはいえ一般競争入札の形をとることになるので、競争性が生まれ公平性と透明性を担保できます。
また多くの事業所の参入も期待でき、競争性が高まるのもメリットです。
官側のメリット②業者選定と見積もり依頼の手間がない
従来の少額随契では、見積もりを依頼する企業の偏りを防ぐために、その都度違う企業に見積もりを依頼する必要がありました。
オープンカウンター方式ならば相当の手間と時間がかかる業者選定をしなくてよいので業務削減につながります。
官側のメリット③地域の中小企業育成につながる
オープンカウンターは中小企業にとっても参入しやすいため、オープンカウンターを採用することで地域の中小企業育成につながります。
また、自治体と地元コミュニティーとの関係が構築されることにも期待されます。
オープンカウンターのデメリットは?
一方、オープンカウンターにはデメリットもあります。
官民それぞれ3つずつ解説します。
民側のデメリット①見積提出期限が短く案件を逃しやすい
オープンカウンターは公表から見積提出までの期限が短く、案件を逃しやすいといえます。
自治体の公表スケジュールに合わせて、こまめに情報を確認することが求められます。
民側のデメリット②不特定多数の企業との価格競争になる
従来の少額随契と比べると、公募されることでより多くの企業との価格競争になります。
少額とはいえ、利益を圧迫しない範囲での見積金額の見極めが必要となります。
民側のデメリット③地域要件が設定されている場合がある
オープンカウンターでは地域要件が設定され、その自治体に事業所がない場合には参加できないケースが多くあります。
あらかじめ参加資格要件を確認し、どの自治体の案件に参加するか決める必要があります。
官側のデメリット①参加者がいないケースが考えられる
特定の事業者と見積り合わせを行う少額随契とは異なり、公募を行うオープンカウンターでは参加者が現れず不調となるケースが考えられます。
官側のデメリット②周知の手続きが必要になる
公募にすることで周知の手続きが必要になり、そのための手間やコストがかかります。
官側のデメリット③新規参入者の履行確実性が判断できない
- 過去の実績が確認できない新規参入者について、契約の履行確実性が判断できないというリスクがあります。
オープンカウンターの魅力はハードルの低さ
今回の記事ではオープンカウンターの意味や概要、具体的手順、メリットデメリットなどについて解説しました。
これから自治体ビジネスに参入しようとする方にとって、ハードルの低いオープンカウンター方式はおすすめの案件です。
制度の意味や目的を確認し、自治体ビジネスへの参入に活かしてください。
今回紹介したオープンカウンターのように、自治体ビジネスには民間ビジネスとは異なる制度や仕組みが多く存在しています。
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