スマートシティ官民連携プラットフォームとは?参加企業と活動を解説

「スマートシティ事業に興味があるけれど、何から始めれば良いのかわからない」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
そこで今回は、スマートシティ官民連携プラットフォームについて解説します。
スマートシティ官民連携プラットフォームは、スマートシティを担当する公共機関と民間企業を繋げる場です。
本記事では、スマートシティ官民連携プラットフォームの概要から参加している団体、活動内容まで紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
スマートシティ官民連携プラットフォームとは?
まずは、スマートシティ官民連携プラットフォームの概要を紹介します。
併せて、「そもそもスマートシティとは何か?」「日本におけるスマートシティの特徴は?」といったスマートシティ事業の全体像についても解説していきます。
官民連携プラットフォームの概要
スマートシティ官民連携プラットフォームは、スマートシティの取り組みを公共機関と民間企業の協働で推進していくために発足されました。
運営は内閣府・総務省・経済産業省・国土交通省が共同で担当しています。
現在参加しているのは、国の府省庁や地方公共団体、民間企業、大学、研究機関などの団体です。
主な活動内容は、スマートシティ事業の推進支援や参加団体間の連携支援です。
スマートシティについて
スマートシティは、最新の技術を用いて都市・地域が抱えている課題を解決して、より良い生活を実現しようとする取り組みです。
スマートシティ官民連携プラットフォームのWebサイトでは、スマートシティを「Society 5.0の先行的な実現の場」とも表現しています。
Society 5.0とは、仮想空間と現実空間を融合させるシステムによって社会が抱える課題を解決して、経済発展をも実現する社会のことです。
実現のためには、ICTやIoTなどの技術を上手く活用することが鍵になります。
日本のスマートシティの特徴
日本は課題先進国であると同時に高い技術力と研究開発力を有していることから、スマートシティの推進が強く求められています。
現在の日本は、以下のような課題を持っています。
- 少子高齢化
- 人口の減少
- インフラの老朽化
- 自然災害の多発
世界各国がこれから先に抱えることになるであろう課題に、日本はすでに直面しています。
課題解決の鍵となるのが、ICTやIoTなどの最新技術の活用です。
スマートシティを推進することで課題を解決し、成果を世界へ発信していくことが日本に求められている役割です。
スマートシティ官民連携プラットフォームの参加団体
スマートシティ官民連携プラットフォームには、国の関係省庁・地方公共団体・民間企業・大学・研究機関などが参加しています。
以下では、会員の種類や団体数、企業の参加状況について解説します。
会員の種類
スマートシティ官民連携プラットフォームの会員には、以下の4つの種類があります。
- 一号会員
- 二号会員
- 三号会員
- オブザーバー
一号会員は、以下のいずれかに該当する団体です。
イ 内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」のうち「アーキテクチャ構築等」の実施団体及び未来技術等社会実装事業の実施団体
ロ 総務省データ利活用型スマートシティ推進事業の実施団体
ハ 経済産業省地域新MaaS創出推進事業の実施団体
ニ 国土交通省スマートシティ推進パートナー(コンソーシアム及びコンソーシアムを構成する団体)及び新モビリティサービス推進事業の実施団体
ホ その他スマートシティ推進に資する関係府省庁の事業に取り組む団体
二号会員は、スマートシティ事業に関係のある府省庁です。
現在は、以下の府省庁が参加しています。
- 内閣官房
- 内閣府
- 総務省
- 経済産業省
- 国土交通省
- 文部科学省
- 厚生労働省
- 環境省
- 農林水産省
- 警察庁
- 金融庁
三号会員は、スマートシティに取り組む経済団体と学術団体です。
現在は、日本経済団体連合会と産業競争力懇談会の2団体が参加しています。
オブザーバーには、スマートシティの推進に意欲的な地方公共団体や民間企業が就いています。
会員ごとの団体数
2021年6月末日現在の各種会員とオブサーバーの参加団体数は、以下の表の通りです。
区分 | 会員数 |
---|---|
一号会員 | 596 |
二号会員 | 11 |
三号会員 | 2 |
オブザーバー | 177 |
合計 | 786 |
企業の参加状況
スマートシティ官民連携プラットフォームには、多くの企業が参加しています。
現在参加している団体を確認したい場合は、スマートシティ官民連携プラットフォームの公式サイトを参照してください。
また、参加している企業の業種は以下の通り多種多様です。
- 建設業
- 製造業
- 卸売小売業、飲食店
- 金融、保険業
- 不動産業
- 運輸、通信業
- 電気、ガス、水道、熱供給業
- サービス業 など
それぞれの企業は、自社の得意分野を生かしてスマートシティを推進しています。
官民連携プラットフォームへ参加する方法
スマートシティ官民連携プラットフォームの会員とオブザーバーは、随時募集しています。
参加したい場合は、まず公式サイトから応募用フォーマットをダウンロードしましょう。
必要事項を記入して運営事務局までメールをすれば、手続きをしていただけます。
スマートシティ官民連携プラットフォーム事務局(https://www.mlit.go.jp/scpf/about/index.html)
営業時間:平日 10時~17時(※12時~13時除く)
電話番号:03-5253-8411
メールアドレス:hqt-scpf-ppp@gxb.mlit.go.jp
スマートシティ官民連携プラットフォームの活動
スマートシティ官民連携プラットフォームでは、以下の4つの活動をおこなっています。
- スマートシティの推進と支援
- 分科会開催
- 参加団体間の連携支援
- スマートシティの広報
順に詳細を見ていきましょう。
1.スマートシティ事業の推進・支援
官民連携プラットフォームの最も重要な責務は、スマートシティの推進です。
スマートシティ推進のために国の各府省は様々な支援メニューを用意し、事業を実施する企業に対して資金面でのサポートをしています。
また、金銭だけでなく事業を成功させるためのノウハウも提供しており、関係府省が一体となって企業を支援する体制が整っています。
2.分科会の開催
スマートシティ官民連携プラットフォームでは、参加団体の共通課題を解決するための分科会も開催しています。
これまで、以下のテーマで分科会が開催されました。
- 観光型MaaSの発展
- スポーツを核とした都市の検討
- 物流の効率化、省力化
- スマートシティのセキュリティ など
分科会で検討した成果は、報告書にまとめられて会員間で共有されます。
3.情報共有・マッチング支援
参加団体の連携強化も、スマートシティ官民連携プラットフォームの大切な役割です。
スマートシティ官民連携プラットフォームには、民間企業・大学・研究機関・地方自治体と様々な団体が参加しています。
多くの団体が参加する中でスマートシティを推進していくためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。
スマートシティ官民連携プラットフォームを運営する各府省は、参加団体間の情報共有やマッチング支援をおこなっています。
4.国内外への普及促進活動
スマートシティ推進のためには、広報活動も重要です。
スマートシティ官民連携プラットフォームは、国内向けには有識者による講演会を開催したり、モデル事業の紹介をしたりして、スマートシティの普及に努めています。
また、海外へ向けても日本のスマートシティへの取り組みを発信し、アピールを続けています。
スマートシティプロジェクトの事例
最後に、スマートシティ官民連携プラットフォームで紹介されている全国各地の取り組みを紹介します。
これからスマートシティ事業への参加を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。
埼玉県熊谷市
まずは、埼玉県熊谷市の事例を紹介します。
熊谷市といえば「あついぞ!熊谷」のキャッチフレーズでお馴染みの通り、気温が高いことで有名です。
そこで熊谷市では、暑さに負けない快適な町づくりを中心としたスマートシティの実現を目指しています。
具体的な取り組みとして、まずは暑さ対策のデータを活用したモデルハウスの住民参加型実証実験を始めました。
また、熊谷市が抱える課題としては、熊谷駅から熊谷ラグビー場へのアクセスの悪さもありました。
移動の利便性を高めるために、自動運転バスの隊列走行の実験もおこなっています。
【参照】熊谷市「熊谷スマートシティ推進協議会」
石川県加賀市
続いて紹介するのは、石川県加賀市の事例です。
加賀市では、スマートシティの目標として、
1.住民の生活の質の向上
2.来訪者の満足度向上
3.稼ぐ力の向上
の3つを掲げています。
まずは住みやすい環境づくりのために、デジタル身分証のアプリや健診情報を確認できるアプリを導入して利便性を高めています。
また、自走式ロボットの技術を用いて、現地に直接行かなくても観光や買い物ができるようにならないか検討を始めました。
この他にも、ドローンの管制システムの導入など、最新技術を採用することで新たな産業の創出も目指しています。
【参照】加賀市「スマートシティ推進事業(加賀市スマートシティ推進官民連携協議会)」
愛知県岡崎市
最後に紹介するのは、愛知県岡崎市の事例です。
岡崎市民は、主な移動手段として自家用車を使っています。
そこで岡崎市は、「楽しい・快適・安全なウォーカブルシティ」をコンセプトにスマートシティを推進しています。
具体的な取り組みとしては、歩いて健康になるためのウォーキングアプリやウォーカブルを補完するシェアサイクルを導入しました。
官民連携プラットフォームを活用してスマートシティ事業を推進しよう!
スマートシティ官民連携プラットフォームは、スマートシティを実現するために公共機関と民間企業を繋げる役割を担っています。
現在は、関係府省庁をはじめ地方公共団体、民間企業、大学、研究機関など様々な団体が参加しています。
スマートシティ官民連携プラットフォームの活動内容は、
1.スマートシティの推進支援
2.分科会の開催
3.団体間の情報共有・マッチング
4.スマートシティの普及活動
の4つです。
これからスマートシティ事業を始めようと思っている企業の強い味方となりますので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。