自治体ビジネス失敗事例

だからあなたは受注できない! 自治体ビジネスあるある失敗例

自治体ビジネスは民間ビジネスと大きく異なる性質を持っています。

そのことを知らないまま自治体ビジネスに参入すると、たくさんの失敗が起きてしまいます。

今回の記事では、代表的な失敗例をケーススタディとして取り上げ、失敗の理由と成功のために必要な知識を紹介します。

自治体ビジネスに取り組む上で、
以下のようなお悩みはありませんか。

・自治体への営業手法がわからない。
・「いいね」と話は聞いてくれるがその先に進まない。
・提案しても「予算がない」と言われてしまう。
・自治体営業の資料が自治体職員に刺さらない。
・プロポーザルに徹夜で挑戦し続けてもなかなか勝てない。

上記のようなお悩みごとがございましたら、LG ブレイクスルーが解決いたします。
弊社は地方自治体との持続可能なパートナーシップ構築を目指す企業様向けに、あらゆるソリューションを提供するコンサルティングファームです。
些細なお困りごとでも、まずはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

自治体職員とのコミュニケーションを間違えた事例

最初に紹介するのは、自治体職員とのコミュニケーションを間違えたために起こった失敗事例です。

事例①:営業トークが刺さらない

40歳の鈴木さん(仮名)は、自動車販売会社で長年トップセールスに君臨。

その営業力とコミュニケーション力、そして根性を見込まれ、広告代理店に引き抜かれて営業部門に配属されました。

地方創生の機運の高まりで、シティプロモーションの分野で地方自治体と取引をしたい。

鈴木さんは会社の方針で、自社のプロモーションサービスについてB市に営業に行くことに。

広報課にアポイントを取り、同席した職員にいつものように営業トーク。

お客様の心を掴み、数え切れないほどの車を売ってきたコミュニケーション力で商談を展開しました。

ところが、職員の反応が思わしくありません。表情も変化がなく、話題を投げかけても淡々とした受け答えです。最後にクロージングを試みたところ、応対した職員の言葉は、

「また機会があったらよろしくお願い致します」。

なぜ終話になったのか理解できないまま、鈴木さんは自信を失いつつ広報課を後にしたのでした。

【解説】

鈴木さんのトークは、なぜ自治体職員の心に刺さらなかったのでしょうか。

理由として、自治体職員のニーズが別のところにあったということが考えられます。

そうであれば、自治体職員とのコミュニケーションを考える必要がありそうです。

民間ビジネスとは異なる商談時のコミュニケーション

自治体ビジネスは、民間ビジネスと同様に考えて自社の製品やサービスの売り込みをする方法ではなかなか成功しません。

自治体職員が最優先で考えていることは「地域課題の解決」です。

どんなに良い製品やサービスであっても、地域課題の解決に役立つことが伝わらなければ、自治体職員の心には刺さりません。

自治体が公表している行政計画などから地域課題やニーズを確認し、地域課題やニーズを起点としたアプローチをする必要があります。

自治体ビジネスで成功するためには、自治体の特殊性を理解し、ポイントを押さえたアプローチをすることが大切です。

民間ビジネスとの違いや自治体営業のコツを知り、職員とのコミュニケーションを見直しましょう。

【関連記事】
地方自治体へ営業!知っておきたい基礎知識と自治体営業のコツを解説!

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自治体へのアプローチ時期を間違えた事例

次に、自治体の予算取りスケジュールを理解していないために発生した3つの失敗事例を紹介します。

事例②:DMを一斉送信、反応ほぼゼロ

28歳の高橋さん(仮名)。研修会社の営業担当ウーマンです。

創業7期目と比較的新しい会社ですが、受講者参加型・体験型の研修プログラムが好評で、業績は好調です。この度会社の方針で、地方自治体の職員研修受注を目指すことになりました。

高橋さんは、いつものようにまずはDM郵送先のリスト作り。

ターゲットとする地方自治体は、自社がある東京都新宿区から時間をかけて訪問しなくて済む関東地方の自治体300団体をリストアップしました。

時期的にもちょうどいいな、と高橋さんは思いました。

今は11月。翌年4月からの新人研修の依頼先を選ぶのには5ヶ月もあれば充分と考えたからです。

いつも使っているDM資料発送代行業者に依頼、人事担当者あてに一斉に自治体に向けてDMを郵送しました。

ちょうどDMが到着する見込みの2日後から、高橋さんはフォローのための荷電を始めました。

ところが、結果は、

  • 「届いていません」
  • 「目を通してこちらから連絡します」
  • 「予算がありません」

自治体からの返答は、この3つのパターンのみ。

その後1ヶ月に渡り架電フォローを続けましたが、結果として1件も成約に至りませんでした。

【解説】

自治体にDMを一斉発送したものの、期待される効果が得られない。

いくつか理由が考えられますが、一番大きなポイントは実施した「時期」です。

ほとんどの自治体は、民間企業に依頼する仕事の内容や予算を、前の年の秋頃までに決めてしまいます。

11月に送付したDMが刺さらなかった一番大きな理由は、情報を提供する時期を外していたから、と言えそうです。

事例③:「予算がない」と言われて終わる

25歳の田中さん(仮名)。学生時代にIT会社でのアルバイト経験を活かし、大学卒業後に起業。プログラミングの指導や、起業家のWEB制作を請け負う小さな会社を経営しています。

これからはプログラミングの技術をマスターするのが世界と戦うために必要、との想いを強く持つ田中さん。小学生へのプログラミング教室を事業化したいと考え、C市の教育委員会に企画を持ち込むことに。

これからの小学生へのプログラミング教育がいかに必要かと一所懸命に語った田中さん。

応対した2名の職員は、いくつか田中さんに質問したあと、最終的には「素晴らしい企画だと思いますが、当市には予算がありません」と言われてしまいました。

 提示した事業費は、まずはトライアルで始めやすいように3回で15万円と安く抑えたつもりだった田中さんには、なんともショックな一言。

そんなにお金がないようには見えないのになあ、と呟きつつ自治体庁舎を後にしたのでした。

【解説】

このように自治体職員から「予算がない」と言われたときには、2つの原因が考えられます。

まず考えられるのは、予算がないのではなく、「予算を締め切ってしまった」というケース。

11月から3月にかけては、こう言われて断られるのがとても多い時期です。

次に考えられるのは、本当に予算がない、予算が取れないというケース。

新しい事業をやりたくても、予算編成方針などで事業化できない自治体もあります。

いずれにしても、自治体予算に関する知識があれば回避することができたのではないでしょうか。

事例④:見積もりください、と言われたものの

45歳の山口さん(仮名)。防災関連の様々な製品を開発、販売している会社の営業担当です。

この年は豪雨や台風、地震などの自然災害が多く、民間企業からの問い合わせが激増。

営業マンとして大忙しな日々を送っていました。

そんなある日、受けた電話はD市の危機管理課。

太陽光でスマートフォンの充電ができる製品100個について見積もりが欲しい、とのことでした。

地方自治体から連絡があったのは初めてのこと。

役所もこうした製品の見積り依頼するんだ!とびっくりした山口さん。

いつまでにご提出すればいいでしょうかと尋ねたところ、明日中にとのこと。

D市はずいぶん急いでいるようです。

山口さんはすぐに見積りを作り、D市担当者にメールで送りました。

その1週間後、山口さんは担当職員に連絡し、いかがでしたかと尋ねたところ、参考になりました、ありがとうございましたと、なんだか話が噛み合いません。

製品が欲しくて見積りを依頼したのではなかったのか?

釈然としない山口さんは電話を切りました。結局その後、D市から発注依頼はありませんでした。

【解説】

自治体が外部に見積りを依頼する目的は、自治体内部の状況によって異なります。

よくあるケースは次年度予算の枠取りのための価格調査を目的とするケースで、10月前後に集中します。

この時期に自治体からの見積もり依頼があった場合は、次年度に自社の製品やサービスを採用してもらいやすくするための「仕掛け」を行うチャンスです。

そのことを知っていたら、結果も変わっていたかもしれません。

自治体予算のスケジュールに合わせたアプローチが重要

自治体営業に取り組む上で、自治体予算の仕組みや流れを理解することはとても重要です。

自治体では次年度の予算を決めるために、前年の1年間で、時間をかけて自治体内部の調整と意思決定が進められます。

その仕組みを理解し、自治体予算の流れに沿ったタイミングでアプローチすることで、自治体ビジネスの成功につながります。

自治体予算の仕組みを知り、適切なアプローチ時期を踏まえておきましょう。

【関連記事】
自治体の予算取りのスケジュールとは?民間企業との違いや流れを徹底解説

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入札やプロポーザルで勝てない事例

最後に紹介するのは、案件獲得が上手くいかない事例です。

自治体は地域住民から集めた税を原資としてさまざまな事業を行うため、発注先を決める際には、公平・公正なプロセスとして入札やプロポーザルが行われます。

事前にしっかり営業をしていたからといって、競争に勝たなければ案件を獲得することはできないのです。

事例⑤:何度入札しても落札できない

38歳の大野さん(仮名)は、調査会社の営業開発部の係長。民間市場の成長が頭打ちとなり、3年ほど前から会社の方針で地方自治体分野へ参入。自治体が発注する住民意識調査などの調査業務の受注に取り組んでいます。

 検索サイトで入札案件を見つけて入札に挑戦するのですが、何度入札してもなかなか勝てません。

 どのくらいの価格か、毎回全く見当がつかないのです。高すぎれば落札できませんし、安すぎても利益度外視になってしまいます。ある日大野さんは意を決し、自治体の担当部署に電話をしました。

「ざっくりでいいので予算感を教えていただけませんか」と職員に尋ねたところ、

「予定価格は一切開示できません」。

冷たく言い放たれ、けんもほろろに電話を切られました。

価格がわからないこともありますが、とても困っているのが入札関連の文書の内容の難しさ。

漢字と見慣れない用語のオンパレードで、何を言っているのか理解するのに時間を要してしまいます。その結果、入札とは別の書類の提出や細かいルールを見落としてしまい、実際に入札までたどり着けないことも。

以前たまたま落札できた時は、赤字覚悟で通常の半額以下の金額でした。ただ、当然大赤字の仕事になってしまい、これ以上会社の利益を圧迫することはできません。

大野さんの憂鬱な入札は、まだまだ続きそうです。

【解説】

入札で誰もが悩むのが「一体いくらで入札すればいいのか」という価格設定の問題ですよね。

民間営業ではクライアントに「予算感はどのくらいでしょうか」と尋ねるのはよくあることですが、自治体の入札では予定価格は開示されず、自治体職員から聞き出そうとする行為は「不当な働きかけ」とみなされます。

これからは、自治体や競合他社の開示情報からおおよその価格帯を見極めるなどの方法で、入札の価格戦略を立てて臨みたいところです。

【関連記事】
一般競争入札とは?わかりやすく徹底解説

事例⑥:“徹夜で企画提案書を作成して負ける”の繰り返し

36歳の山田さん(仮名)は、印刷業・ウェブ制作業を営む中小企業の営業担当です。

同業他社がプロポーザルによる自治体案件をいくつも受託していることを耳にした社長の意向で、ある日突然、自治体案件の担当者として売上を上げるようにと指名されました。専任ではなく、民間企業への営業と兼任です。

その後、たった一人で挑戦し続け1年が過ぎましたが、一向に受注できません。勝ち負け以前にプロポーザルの対応に割く時間が取れないのです。

毎日、通常業務の外回りから19時頃帰社し、その後、案件情報をネットで調べています。通常の仕事に追われていると、あっという間に締め切り間近に。提出期限の数日前からやっと企画提案書作りを始め、提出前日は毎回徹夜です。

朝までかかってようやく仕上げ、ボーっとなった頭で提出の手続きを終えるも、後で細かいルールの見落としや書類の不備に気づくことも。

せめてもう一人担当者を置いてもらえないかと上司に相談してみましたが、「結果を出してからそういう相談は持ってこい!」と取り合ってもらえません。

誰にもわかってもらえず、相談もできない状況での出口が見えない挑戦に、山田さんの気持ちは折れる寸前です。

【解説】

結論から伝えると「一人で戦っても安定的に勝てない」のがプロポーザルです。

プロポーザルでは細かいルールや要件が定められており、通常業務の傍ら一人で対応すると、どうしても見落としが発生してしまいます。

また、公告から企画提案書提出までの期間が短い中で、通常業務との調整やスケジュール管理が難しくなってしまいます。

メンバーの時間的リソースを明確にした上で、少人数かつ短期間のプロジェクトとして進行管理するよう、特に管理職や経営者の方には肝に銘じてほしいところです。

案件獲得のポイントは勝つための戦い方をすること

自治体ビジネスでは、入札やプロポーザルで勝たなければ案件を獲得することはできません。

特にプロポーザルは、自治体ビジネスの中でも特に苦戦する民間企業が多い取り組みです。

プロポーザルで勝つためには、ただ自社のアピールをするだけでは足りません。

案件を獲得するためには、競合他社と比較して「最も高い点数を取る」必要があります。

また、企画提案書の作成だけではなく、プレゼンテーションも重要なプロセスです。

しっかりとした準備によって、他社より高い点数を獲得できるプロポーザルを目指しましょう。

【関連記事】
自治体から評価されるプロポーザルの戦い方【10のステップ】
プロポーザルに勝つためのプレゼンテーションとは?手順とポイントを徹底解説

LGブレイクスルーでは、自治体ビジネスを熟知したコンサルタントによる研修やコンサルティングを通じて、入札やプロポーザルの勝率向上をサポートします。

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LGブレイクスルーは、「自治体営業7つのフェーズ」で持続可能な自治体ビジネスをサポートします

今回は、自治体ビジネスの代表的な失敗例をケーススタディとして紹介しました。

LGブレイクスルーでは、自治体営業における案件獲得の勝率を高めるためのプロセスを「自治体営業7つのフェーズ」として開発し提供しています。

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これから自治体ビジネスへの参入を検討している方や、しばらく取り組んだもののなかなか成果が出ない方は、ぜひ個別相談をお申し込みください。

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